令和7年度 市長施政方針

ID番号 N9662

更新日:2025年02月21日

1 はじめに

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施政方針演説をする近藤市長

令和7年第1回日進市議会定例会の開会に際しまして、令和7年度の施策及び当初予算を始めとする各議案のご審議をお願いするにあたり、市政運営の基本的な考えを申し上げます。
本市は、昨年10月に市制施行30周年を迎えることができました。多くの皆様に日進市を選んでいただき、住み続けていただいていることに加え、本市発展のためにご尽力いただいた全ての皆様に、改めて心から敬意を表するとともに感謝を申し上げます。
わが国を取り巻く環境は、人口減少、気候変動による猛暑・風水害などに加え、AIを含むデジタル利活用の急速な進展や、紛争等に起因する物価の高騰など、対応すべき多くの諸課題を有しており、地域経済においても様々な形で影響が生じています。
そうした社会経済情勢を的確に見極めつつ、本市の未来を見据え、市民の皆様、事業者、教育機関、NPOなど、地域のステークホルダーの皆様とそれぞれの強みを活かし協働することで、まちづくりを一歩一歩進めてまいります。今後も、その時々に最も適切な政策判断を行いながら、市民一人ひとりの価値観や幸せを大切にする市政運営を力強く進めてまいりますので、市民の皆様、議員各位には、より一層のご理解とご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

2 「新たなステージ」へのまちづくりについて

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令和7年第1回日進市議会定例会本会議

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施政方針演説をする近藤市長

市制施行30周年を迎えた昨年は、「たのしいをいっぱいつくる」のテーマのもと市民の皆様が企画した「市民公募事業」など様々な記念事業において、皆様が楽しみ、誇りと愛着を深める姿を拝見することができました。大変嬉しく思うとともに、市民の皆様、企業、団体の皆様の一体感を感じたところでございます。
新たなステージでは、これまで先人達が守り、つなげていただいた自然豊かな環境を守りつつ、公共交通の充実や駅周辺地域のポテンシャルを十分に活用した魅力ある施策を展開してまいります。教育、子育て支援、医療、福祉、防災対策等の充実を図るなど、総合計画に掲げた施策を着実に推進することにより、にぎわいと豊かさに満ち、人々が幸せに暮らせる持続可能なまちづくりを実現してまいります。
「節ありて竹強し」という言葉がございます。節が増えた竹はよりしなやかに、強くなります。
これまで築き上げてきたことに誇りを持ちつつ、まちづくりの新たなステージに向けて、課題に対し失敗を恐れず、勇気をもってチャレンジしてまいります。
その決意を胸に、力強い一歩を踏み出す1年とすることをお誓い申し上げ、令和7年度の主な取組についてご説明いたします。

3 令和7年度のまちづくり方針について

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施政方針演説をする近藤市長

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令和7年第1回日進市議会定例会本会議で登壇する近藤市長

初めに、「健やかに暮らす」に関する取り組みでございます。
多様化するニーズに対応していくため、これまでの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超え、本市ならではの重層的支援体制の整備を進めることで、市民一人ひとりが役割を持ち、暮らしと生きがい、地域と共に創っていく地域共生社会を目指します。
具体的には、重層的支援体制の中心的役割を担う、専門職員を配置した福祉相談室を新たに設置し、こども家庭室、学校支援室との連携を強化することで、個人や世帯の属性にとらわれず、生涯を通じて切れ目のない相談体制を確立します。
こどもは、次代の社会を担い未来の希望となる、かけがえのない存在であります。こどもを安心して産み、育てるためには、子育てに係る保護者等の負担を軽減し、心や体を健やかに保てるような環境整備が重要となります。
そこで、保護者の多様なニーズに対応するよう、公立保育園と民間保育施設に求められる役割と特色を十分に生かしながら、保育サービスの拡充を進めてまいります。老朽化が進む東部保育園につきましても、早期にこれらの保育ニーズに対応できるよう、最も効果的な方法について、検討してまいります。
また、子育てにおける相談は、年々複雑化、多様化しており、これまで以上に充実した支援が必要です。特にひとり親家庭等に対する学習・生活支援事業を高校生世代まで拡充し、学習習慣の定着や基本的な生活習慣の支援を行うことで、貧困の連鎖を防止し、将来の自立を促してまいります。
一方、高齢者施策といたしましては、栄養パトロールをはじめフレイル対策について、市民一人ひとりに着目し、医療や介護の専門職と連携を図ることで、保険事業と介護予防との一体的な実施を進めてまいります。

次に、「安全・安心を高める」に関する取り組みでございます。
本市はこれまで、東日本大震災や能登半島地震において被災された方への人的・物的支援を行ってまいりました。被災地にて支援活動を実施するなかで、住民の生命・財産を守り、被害を未然に防ぐ、または最小限に抑えるための防災・減災への取組の重要性を更に認識することができました。
今後、発生が予想される南海トラフ地震を始めとする大規模災害に備えていくため、被災地支援の経験を活かし、行政だけでなく企業や地域、住民一人ひとりが起こり得る災害を想定し、自助・共助・公助の連携の輪を広げ、相互に助け合うことができる地域づくりを推進してまいります。
そこで、市職員及び関係機関により継続してきた災害対策本部訓練の実施に改善を加えながら、地域が自主的に実施する防災訓練を支援するとともに、令和6年8月に発表された南海トラフ地震臨時情報を受けて、市内全体での同時訓練の実践につきましても検討してまいります。
また、地域の安全確保に大きな役割を果たす消防団につきましては、地域防災力の強化と人員確保のため、引き続き、女性消防団や機能別消防団員制度の積極的な活用に努め、女性や若者目線も含めた防災、減災対策を進めてまいります。
さらに、道の駅敷地内の防災倉庫をはじめ、災害物資の効果的な配置を進めてまいります。

次に、「暮らしやすいまちを創る」に関する取り組みでございます。
目まぐるしい社会状況の変化にも柔軟に対応し、目指すべき将来都市像の実現に向け、日進市都市マスタープランの中間見直しを行ってまいります。合わせて、来たるべき人口減少や都市基盤の老朽化などの懸念される事態を捉え、持続可能な都市構造とするべく、地域特性に応じたコンパクトな都市を形成する指針となる日進市立地適正化計画を新たに策定いたします。
本市の西の玄関口であります赤池駅につきましては、周辺の魅力向上を図るための検討を行ってまいります。
自動運転バスのレベル4運行の実現など次世代を見据えた公共交通を本市都市計画の重要なツールと位置づけるとともに、幹線道路等の整備事業につきましても、国・県などの関係機関と緊密な連携を図り、力強く進めてまいります。
本市の新たな南北軸となる野方三ツ池公園線は、早期完成に向けて着実に進めてまいります。橋梁、横断歩道橋、舗装などのインフラ施設につきましては、予防保全型の管理を推進し、長寿命化を図ることで、安全安心な道路施設を整備してまいります。
また、スマートインターチェンジなど用地の取得を要する全ての事業につきましては、用地買収や物件補償の交渉に注力してまいります。
さらに、下水道事業を安定的に継続していくために、これまでの包括管理を一歩進めたウォーターPPPの導入に向けて調査、検討を進めてまいります。

次に、「産業の魅力を高める」に関する取り組みでございます。
いよいよ8月に「道の駅 マチテラス日進」が開駅します。開駅を期に、文化施設でもあります旧市川家住宅、岩崎城址公園などを観光施設としても位置付け、地域資源として最大限活用することで、道の駅を中心とした観光事業の推進及び情報発信を進めてまいります。加えてプロモーション大使の協力やマスコットキャラクターの活用などにより、本市の魅力を広く発信することで、シティプロモーションに努めてまいります。
また、市制30周年を機に始まった地域ブランディング事業「コーヒーの街にっしんプロジェクト」醸成のため、SDGsに合致するサステナブル事業を観光協会とともに展開してまいります。
一方、産業振興では、奨励金制度を活かし、工業用地として旧日進美化センター跡地の売却を進め、魅力ある事業者の立地を進めることで、雇用の促進や地域経済の活性化を目指します。
また、「STATION Ai(ステーション・エーアイ)」を通じて、本市への起業者の誘致を図るとともに、市の課題解決案を募る「ガバメントピッチ」を活用してまいります。さらに、地域ブランドの創出を目指したシティプロモーションとふるさと納税との連携による、地場産業の活性化、企業誘致をすすめ、財政基盤の強化に取り組んでまいります。

次に、「学びと文化で未来を創る人財を育てる」に関する取り組みでございます。
誰一人取り残さない教育を推進するため、教育の質の向上、特別支援教育の充実、経済的支援の実施、コミュニティ・スクールの本格導入による学校と地域社会との連携・協働の促進、学びのDXと教員の働き方改革の支援などに取り組んでまいります。
学校施設の整備につきましては、当面児童数の増加が見込まれる赤池小学校の増築工事を実施するほか、新しい時代の「地域とともにある学校」を踏まえた改築計画を含め、将来的な人口減少も見据えた検討を進めてまいります。
特に西小学校につきましては、現体育館の応急対応を行うとともに、日進西中学校に近接する場所への移転に向けた基本構想、基本計画や基本設計等に着手することで、児童の教育環境を整備してまいります。
さらに、大学や企業、団体と協力し、職場体験やアニメなどの文化芸術体験、音楽を核とした様々なキャリア教育を推進することで、こども達の未来に向けた希望や成長を後押ししてまいります。
また、生涯にわたって学習やスポーツに取り組める機会を提供するため、eスポーツ等多種多様な取組を提供するとともに、施設の改修、修繕を適宜行ってまいります。

最後に、「地域の自治力と行政経営力を高める」に関する取り組みでございます。
福祉会館を地域拠点の核となる施設として位置付け、地域の交流と学びの場、地域福祉活動の支援等、これまで以上に地域自治を強化し、地域とともに住民一人ひとりが安心して暮らせる地域社会を目指します。
公共施設等につきましては、いずれ到来する人口減少に備え、施設の保有量の適正化や維持管理の効率化を図るとともに、市民サービスの質の向上と時代に合った施設再編を目指し、老朽化施設を中心に、施設再編計画を策定してまいります。
本市は、選択的週休3日制の導入など、職員が意欲をもって働きやすい環境の整備を先進的に進めてまいりました。新制度を活用しつつ、職員が元気に誇りをもって働ける職場、一丸となって質の高い行政サービスを提供する組織を目指し、係制の廃止、開庁時間の短縮など定員と業務のバランスを考慮した職場環境を整備してまいります。
行政情報の発信につきましては、ホームページ、SNSやアプリといったデジタル媒体との連携を強化していくため、本年8月に広報紙をリニューアルし、より見やすく、わかりやすく、伝わりやすい情報発信に努めてまいります。
また、DXの推進や既存事業の見直しなどにより、行政経営の効率化を図り、健全な財政運営のもと市民サービスを提供し、最少の経費で最大の効果が発揮されるよう、経営資源の最適化を図ってまいります。
尾三衛生組合の焼却炉の更新、尾三消防組合の指令室の更新など、大規模な事業が予定されていることを踏まえ、これまでの枠組みに捉われない広域行政についても、検討を始める必要があると考えております。

4 令和7年度当初予算の概要について

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令和7年第1回日進市議会定例会本会議

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施政方針演説をする近藤市長

続きまして、令和7年度当初予算案の概要についてご説明させていただきます。
本市の特別会計を含む予算総額は約530億円、対前年比で、6億8千万円の増加となりました。
その中でも、一般会計につきましては、人件費や物価高騰による物件費等の上昇などから、歳出は増大しており、過去最大の予算規模となりました。
一方、歳入につきましては、市税収入の増額等は見込めるものの、歳出の伸びには追い付かず、財政調整基金やその他特定目的基金、市債の活用により歳入を確保しており、大変厳しい予算編成となりました。
一般会計における、主要事業の概要といたしましては、ひとり親家庭等の生活の向上を図るための母子等生活支援事業、天白川に架かる新設橋の橋脚整備工事を行う野方三ツ池公園線整備事業、「道の駅 マチテラス日進」に大型LEDビジョンを設置するための観光促進事業、市内4中学校及び1小学校の体育館に空調を整備するための小・中学校整備推進事業、スポーツセンターをはじめ、計8施設のLED化を実施するための公共施設LED化推進事業などを盛り込んでおります。
また、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、学校給食費の保護者負担の一部軽減を図ってまいります。
引き続き、公共建築物や道路・公園などの長寿命化と財政負担の平準化を図るための修繕や、新たに農業用施設を加えたインフラ修繕については、「修繕予算枠」として予算を確保し、計画的に実施してまいります。
物価高騰等の中での厳しい財政状況を踏まえ、令和7年度の機構改革では、ふるさと納税を産業部門へ移管することで、市内企業との連携を強化し、魅力的な返礼品開発などを進め、新たな財源確保に努めてまいります。
一方、歳出につきましては、行政改革を財務部門へ移管することで、予算との連動を強め、事務事業や補助金の見直しを時代に即したものとなるよう、全庁的な取組として進めてまいります。
将来に向けた財政構造の改善に取り組むとともに、持続可能な財政運営に取り組んでまいります。

5 まとめ

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令和7年第1回日進市議会定例会本会議での市長施政方針演説の様子

結びに、本市では、社会経済情勢の大きな変化に直面する中、職員の働き方改革、DXの推進など今と未来を結ぶチャレンジを実践してまいりました。
令和7年4月からは、新たな時代に即した組織を構築する機構改革や必要に応じた組織で政策課題を解決する仕組みを設けます。また、教育と子育て部局の統括役を担う副教育長、各プロジェクトを総括する政策調整監や財務統括監を配置し、本市の抱える政策課題に部局横断で、より強固に対応できるよう取り組んでまいります。
開駅する「道の駅 マチテラス日進」は、交通の結節点や市民の憩いの場、地域資源を活かす場、市の魅力を広める場、また、人生100年時代を迎え、市民の皆様が自分を表現する場としても活用していただきます。
このように、様々な分野において将来につながる種をまき、育んできた取組が一つ一つ形となってきています。「新たなステージ」では、将来を見据え、都市基盤整備等をしっかりと進めつつ、多様な選択肢から、それぞれが主体的に選択し、自分らしく生き生きと暮らせるまちづくりを進め、「人とみどりを大切にするまち」として皆様に住み続けたいと感じていただけるよう、全力で取り組んでまいります。
市民の皆様、議員各位におかれましては、より一層のご支援並びにご理解とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げ、令和7年度の施政方針とさせていただきます。

この記事に関するお問い合わせ先

企画政策課
電話番号:0561-73-3483 ファクス番号:0561-73-6845

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