2021年7月2日 中部大学連携講座「『伊勢物語』の主要章段を読む」

ID番号 N12029

更新日:2021年07月08日

古典の面白さ発見

古典文学「伊勢物語」の主要章段について、古文の基礎知識などの解説を聞きながら読み進める講座が2日、図書館で開催されました。受講者は原文を読みながら、物語で描かれている平安時代の文化や習慣についても学びました。
講師の話に耳を傾ける受講者

講師の話に耳を傾ける受講者

本講座は全3回の開催で、この日の第1回は、「初冠・二条后章段を読む」がテーマでした。講師を務めたのは、中部大学人文学部日本語日本文化学科准教授の本田恵美さんです。本田さんは中古文学(歌物語、和歌)が専門で、研究テーマは「伊勢物語の方法と享受」です。冒頭で参加者に、受講のきっかけを尋ねる場面があり、大学で古典を学んでいた人や、小説を読んだのがきっかけで高校の授業以来の古文だという人などさまざまでした。本田さんは「ストーリーの面白さよりも古文の面白さを解説していきたいと思います」と話しました。
伊勢物語の解説をする講師の本田さん

伊勢物語の解説をする講師の本田さん

伊勢物語とは、平安時代に書かれた日本で最初の歌物語として知られる作品です。最近は新聞の小説や、テレビ番組で取り上げられることもあり、注目されている古典文学の一つです。在原業平(ありわらのなりひら)の歌を中心に、短い物語が集まって成り立っています。多くの段が「むかし、男ありけり」と始まり、その「男」の設定は年齢も性格もばらばらだそうです。「男」と書き始めることにより、読者は同化しやすく、「男」になった気分で読めるとの解説がありました。

今回取り扱われたのは、元服した(15歳前後の)男が美しい姉妹に恋をする話、真面目な男が人妻に恋をする話、愛する女性を鬼に食われる話など、さまざまな恋の物語でした。全体を通していろいろな解釈があるそうです。伊勢物語は、後の時代に享受され、江戸時代にはいろいろなものに取り込まれていったと説明があり、影響力の強い文学であることがうかがえます。
熱心にメモを取る受講者

熱心にメモを取る受講者

講師の本田さんは原文を一字ずつ読み上げながら、古語の意味や解釈方法を解説し、物語の内容だけでなく古文自体に親しむことができる内容となっていました。また最後に、伊勢物語のパロディーである仁勢物語の紹介がありました。仁勢物語は、みやびな伊勢物語を忠実にもじりながら、庶民的な感覚に満ちた作品に置き換えており、面白みがあるそうです。

受講した南ケ丘在住の女性は「伊勢物語についてのテレビ番組を見たのがきっかけで受講しました。丁寧に原文を解説されたのが良かったです」と感想を述べました。(荒)

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