2021年6月13日 香久山古窯から学ぶやきもののルーツ

ID番号 N11959

更新日:2021年06月16日

日本陶器の源、尾張丘陵窯跡群

<市民スタッフ 三鬼一朗>
1200年前の陶器づくりを体感し、焼き物のルーツを学ぶ講座が13日、一般公開中の「香久山古窯」(香久山・すずかぜ公園内)で開かれました。焼き物を作る窯が1050カ所見つかっている尾張丘陵の「猿投窯」で、平安時代初期(9世紀)から優れた産地として栄えた日進地域の陶器生産。市内に160基ある古窯の一つ香久山で、参加者はその特色や古代の焼き物について専門の学芸員の話に耳を傾けていました。
香久山古窯の遺構を保護するすずかぜ公園内の建物

香久山古窯の遺構を保護するすずかぜ公園内の建物

講師の大西さん(右)から猿投窯の概要を聞く参加者

講師の大西さん(右)から猿投窯の概要を聞く参加者

日進市を含む尾張東部、猿投山麓の一帯は古墳時代(5世紀)に窯が築かれ、奈良・平安時代には国内最大の窯業地として、以後900年もの間、全国に陶器を供給しました。特にうわぐすり(灰釉、緑釉)を使った高度な窯業技術は後に瀬戸、常滑へと受け継がれ、一大焼き物産地となっていきます。
日進市内には7世紀後半~13世紀に設けられた窯が160基あるといわれ、その一つ「香久山古窯」は平安初期に築かれた典型的な穴窯です。斜面に溝を掘り天井をかぶせた窯で、長さ7.9メートル、幅2メートルの窯内に分焔柱(ぶんえんちゅう)と呼ばれる温度調整の柱を残す貴重な遺構です。昭和57年に土地区画整理に伴い発掘調査され、ほぼ完全な状態で出土しました。窯を保護する建物が平成5年に建てられ、平成21年に市の指定文化財(史跡)に指定されています。
ほぼ完全な状態で残存している窯跡

ほぼ完全な状態で残存している窯跡

市内の古窯で発見された灰釉陶器、須恵器なども展示され、手に取って見ることができる

市内の古窯で発見された灰釉陶器、須恵器なども展示され、手に取って見ることができる

この日、香久山古窯に集った参加者は古窯講座の講師、愛知県陶磁美術館学芸員の大西遼さんから窯業を育んだ風土などについて話を聞いた後、建物に入って古窯を見学します。大西さんは、なぜ猿投山麓が焼き物の一大産地になったのか、香久山古窯など日進の窯ではどんな製品がどのように焼かれていたのか、釉薬(ゆうやく)など独自の技術はどのように磨かれていったのか、説明を加えていきながら、窯の特色や猿投窯を中心とした古代日本の焼き物について解説しました。
参加者からは、穴窯の構造や、都に運ばれた猿投窯の製品について質疑もあり、濃密な講座となりました。
5月にスタートした香久山古窯の一般公開は9月26日までの第1~第4日曜日(午前中)。10月以降の公開は予約制。専門の学芸員による講座は一般公開に合わせて企画された今回のみ。
講師の大西遼さん

講師の大西遼さん

一般公開のお知らせチラシ

一般公開のお知らせチラシ

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