2019年6月15日 愛知池と渡り蝶の講演会

ID番号 N8471

更新日:2020年01月15日

生物多様性を守るには?

愛知池に飛来する珍しい渡り蝶について話を聞くとともに生物の多様性、いのちのつながりの話を聞く講演会が15日、にぎわい交流館で開催されました。参加した33人は、スライドを見ながら講演者たちの話に熱心に耳を傾けていました。

幅広い年齢層の人たちが参加

幅広い年齢層の人たちが参加

この講演を主催した愛知池友の会(代表:飯塚満知子さん)は、愛知池の水辺環境と近辺に生息するさまざまな動植物を守る活動をするとともに、渡り蝶のアサギマダラを観察する活動を行っています。アサギマダラは体に毒を持っているため鳥などに襲われず、寒い時期は九州、沖縄などで幼虫越冬し、成虫になると夏場は北海道、東北などの涼しいところで過ごすなど珍しい生態の話を聞きました。愛知池へは10月10日~20日ごろに飛来し、愛知池でマーキングした蝶は四国で見つかっているそうです。
NPO法人日本エコロジスト支援協会の飯塚裕亮さんは、北海道のニホンオオカミは捕獲したことにより絶滅し、天敵がいなくなったエゾシカの個体数が増加して北海道の環境を破壊しつつあるという例や、ミツバチがいなくなるとショートケーキからイチゴがなくなるかもしれないという例を挙げ、一つの生物が絶滅すると他の生き物に影響があり、地域の環境を破壊してしまう危険性があると話しました。生物の多様性が水や森などの豊富な資源、災害の抑制、食卓に並ぶ食材など全てがつながり、私たち人間も生物多様性の一部であり、身近な所から生物多様性を守ることが大切と話しました。個人の庭でも生物多様性には大きな効果があるとも話しました。

アサギマダラについて話す飯塚さん

アサギマダラについて話す飯塚さん

熱心に資料を見ながら耳を傾ける受講者

熱心に資料を見ながら耳を傾ける受講者

 

知多半島臨海部に「生態系ネットワーク形成担い手育成事業 命をつなぐプロジェクト」として、大手企業11社と100人以上の学生が参加する実行委員会が活動し、動植物の生態を守る森を整備しているそうです。約半世紀前に海を埋め立てて工業地帯を造成し、周辺市街地の目隠しとして企業緑地群が誕生しました。このプロジェクトに参加している学生たちは今では森となった企業間の森をつなぐため、企業境界のフェンスの下をそこに生きる生き物が行き来できるようアニマルパスウェイをつくったり、巣穴や巣箱を設置したりする活動をしています。学生3人がこの活動内容を参加者に分かりやすく説明し、参加者に虫の名前や生態に関するクイズを出して会場を和ませてくれました。
講演の後の質疑応答では、参加者から「この森に住む動物は何処から来たのか」、「森をつなぐために間の道路に計画時から動物が行き来できるルートを作ったほうが良いのでは」など次から次へと質問がでて、関心の高さがうかがえました。

クイズに積極的に参加する参加者

クイズに積極的に参加する参加者

プロジェクトの活動を説明する学生

プロジェクトの活動を説明する学生

愛知池友の会の飯塚満知子さんは、「今日のお話を聞いて、生物多様性というあまり実感していなかったことがわかりました。このプロジェクトは本当にすごい。自分ができること、参加できることを講演の参加者がやっていこうと意識を持ってくれれば良いです」と今日の講演の手応えを感じた様子で話しました。(越)

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