教育長所信表明

ID番号 N13132

更新日:2024年09月02日

はじめに

    記念すべき「市制30周年」の10月1日より、日進市教育委員会教育長2期目を拝命することになりました。今、「答えのない時代」と言われている中で、どうしていいのか分からず、悩み苦しんでいる子どもから高齢者にいたるまで、あらゆる世代のみなさんが夢や希望を持って楽しく充実した人生を送ることができるよう、微力ながら、私もみなさんに寄り添っていきたいと思っています。日進市民のみなさんに向け、教育や学びへの支援など、私の想いや考えを大きく5点述べさせていただきます。

所信表明する岩田憲二教育長

1.<(続)だれひとり取り残さない教育>を目指して!

(1)子どもたちの居場所づくりを通して

    教育長1期目は、だれひとり取り残さない教育を進めるため「校内ハートフレンド」を新設し、経験豊かな職員を配置するなど、子どもたちの学校での居場所づくりに取り組んできました。その結果、多くの悩める子どもたちの心のエネルギーが充足され、自立に向けた活動に取り組めるようになってきていると実感しています。また、教育支援センター「ハートフレンドにっしん」でも支援体制を強化し、学校に行くことができない、家から出ることができない子どもたちに特化した、オンライン登校や家庭訪問などの対応ができるようになり、ハートフレンド全体として、これまで以上に充実した取組となってきました。
    ただし、現在でも子どもたちの居場所の充実は大きな課題と認識しており、まだまだ、多様な支援を必要としている子どもたちがたくさんいます。不登校であるという事実は、子どもたちにとっても保護者のみなさんにとっても、非常に大きな心の負担になっているのではないでしょうか。自らの意思で家にいることを選択している子どももいますが、少しでも家の外と関わるきっかけを作り、将来の「8050問題」に発展させないよう、学校以外の公共施設やWeb空間などを利用し、ハートフレンドの拡充を進め、子どもたちの居場所を確保していきたいと考えています。
    そのためには、DXの進む現代において、デジタルを苦手とする人が多いと言われる我々世代が、躊躇していてはいけません。今の子どもたちが少しでも興味・関心を持ち続けられる、たとえば「eスポーツ」は有効な手段だと考えています。特に、不登校児童生徒の多くは、自宅に閉じこもってからはスマートフォンを介してしかコミュニケーションを取ることができないと言われており、一歩前に踏み出すきっかけとして「eスポーツ」などを活用した居場所づくりも検討する必要があります。
    そして、そのような多くの悩める子どもたちが、義務教育を終了してからも公教育の中で高等教育が受けられるよう、県立日進高等学校に併設される中高一貫「学びの多様化学校」とも地元教育委員会として引き続き大きく関わっていきたいと思います。加えて、高等教育修了後、大人になってからも自立できるよう、就労に向けた教育や、場の提供に向け、最大限努力していきたいと考えています。

(2)特別支援教育・インクルーシブ教育の充実を通して

    これまで特別支援教育を受けることのできる学校や場の選択肢を少しでも増やそうと愛知県に働きかけてきました。その甲斐もあって、令和9年4月には名古屋市天白区に肢体不自由の特別支援学校が整備され、日進市の子どもたちが比較的近くで専門的な教育を受けられるようになります。あわせて、豊田市には知的障害の特別支援学校が整備されることとなり、日進市の子どもたちが通う県立三好特別支援学校の過大化が解消され、今まで以上に個に寄り添った教育が受けられるようになります。
    さらに、市立の小中学校では、すくすく園や市教育委員会に在籍している専門の指導員による就学前からの地道な相談支援活動が実を結び、特別支援学級での教育を保護者協力のもとスムーズに行えるようになってきました。ただ、現在、就学相談対象の子どもたちは増加の一途をたどっており、乳幼児期からの専門職による早期発見・早期支援やこども発達支援センターを含めた巡回相談機能の充実が急務になっています。今年度は市教委に指導主事も1名増員しており、今後はさらに、いろいろな個性を持つ子どもが安全・安心な環境で学習するために、子どもを真ん中に議論し、それを支援することのできる体制を整えていきたいと考えています。
    また、障害の有無や国籍、人種、性別、宗教などの様々な特徴に関わらず、一緒に学習することができるインクルーシブ教育を進めることが求められています。本市の小中学校や生涯学習の場においても、そのような学びの場にすることが、現在、社会的な課題となっている共生社会を実現する一助になり得ると考えています。

(3)ゆとりを大切にする教育課題への挑戦を通して

    現在、教育現場では働き方改革が大きな課題となっていますが、教員としての仕事の質を向上させることで、子ども自身が主体的に学校を楽しめる時間が増えると考えています。
    教員はスーパーマンではありません。体調が悪い時に気兼ねなく休むことのできる環境づくりこそが、心のゆとりに繋がり多忙感の解消に繋がると考えています。
    現在は、教員不足も非常に大きな課題となっており、担任が休んだ時の代わりに、場合によっては校長先生が授業を行うこともあるのが現状です。そういった状況では、なかなかゆとりのある雰囲気にはならず、各教員がゆとりを感じることもできません。まずは上司の笑顔を増やし、産休、育休や病気などで休んでも、ときには家族サービスで休んでも、教頭、教務主任、校務主任以外の教員が代わりに担任業務や授業を行うことのできる、そんなゆとりを生み出す教員配置を国や県に要望しつつ、検討していきます。加えて、タブレットを利用した教員の業務負担の軽減も進めていきたいと考えています。
    そして、そのゆとりの中で義務教育だけに重点を置くのではなく、就学前の世代とのつながりや連携、義務教育終了後の就労までの期間を視野に入れた、誰もが安心して相談できる体制づくりが大切だと考えています。
    現在、学校教育課指導室と子育て支援課こども家庭室との部や課を越えた連携に努め、誰もが安心して登校できる学校を目指して取り組んでいます。
    今後はスクールソーシャルワーカーを中心とした子ども支援体制(チーム指導室)を確立するために、スクールロイヤーとの連携強化の研究を進めるとともに、愛知県にも働きかけてまいります。また、健康こども部・福祉部局との重層的支援体制の連携強化の中で、学校での悩みはもとより、それ以外の悩みも早期にキャッチし、それぞれの専門機関で早急に対応できるよう支援していきます。
    また、将来的には、就学前世代から義務教育世代、そして義務教育卒業後、社会に出るまでの世代に対しての相談業務だけではなく、総合的な支援業務も含め一元化した支援体制を整えるために、優秀な人材を安定的に確保できるよう、これまで以上に積極的な姿勢で取り組んでいきたいと考えています。
    さらに、学校で子どもたちに寄り添い、心のケアを担う養護教諭への支援が重要課題であります。日進市の場合、児童生徒数が非常に多いにもかかわらず1名の養護教諭で対応している学校もあります。少しでも心にゆとりを持って子どもたちに寄り添い、対応してもらうため、強力に国や県に要望しつつ、課題解決に向けた体制強化を検討したいと考えています。

(4)「楽しいがいっぱいの給食」を通して

    今年度より、日本中の給食を研究し、質の高い「楽しいがいっぱいの給食」を市内の様々な場所で提供していきたいと考えています。 一人でも多く、おいしい給食が食べたくて学校に行きたくなる、そんな給食を増やしたいと考えています。不登校児童生徒には、「まずは、勉強はさておいて給食を食べにおいで!」と伝えたいし、学校に通学していても元気が出ない子どもたちに「給食を食べて元気を出そうよ!」「おいしい給食を食べると自然に笑顔になるよ!」と伝えたいと考えています。
    給食費については物価高騰に伴う適正な価格への改定とあわせ、学校の給食事務の負担軽減を図ることで、教員が子どもたちに向き合う時間をもっと増やせるよう取り組んでいきます。
    また、給食の地産地消推進を通して、日進市への愛着や地元の素晴らしさに気づいてもらいたいと考えています。「楽しいがいっぱいの給食」を生み出すためには多くの人たちの努力があり、そこに感謝の気持ちを持っていただくことのできる人に育てていきます。そして、今の子どもたちが食べられる当たり前を大切にし、将来の日本がフードロスを無くすことができるよう食育の充実にも努めていきます。

2.<地域とともにある学校>を目指して!

    次に、地域社会のつながりや支え合いが希薄化していると言われる昨今、地域の教育力の低下を防ぎ、子ども、若者、高齢者、様々な世代が地域で孤立しないよう、多様な人たちがどんどん交流のできる、そんな学校にしたいと考えています。あわせて、コミュニティ・スクールの導入に向けて、地域学校協働活動を活性化させることで、地域と学校が力を合わせて学校運営に取り組める環境づくりを目指していきます。
    そのためには、過去に当たり前とされてきた学校からの脱却が大切だと考えています。教職員だけが子どもたちを育てるのではありません。保護者を含めて、子どもの応援団であるべき地域の人たちが、学校でどんな教育が行われているのかを日常から理解し、「困っているならば少しでも協力したい」と思えるような、地域とともにある、みんなが支える開かれた学校にしていかなければいけません。そして、地域の人たちが学校・子どもを核につながりを深め、災害を含めた「いざ」という時に、どんな人でも助け合うことのできる地域一丸の意識を醸成したいと考えています。
    一方、さらに開かれた学校にするためには、同時に不審者対策などのセキュリティの強化が重要になってきます。平成13年6月大阪教育大学附属池田小学校の事件以来、子どもたちの安全・安心のために不審者への対応は欠かせないものとなっており、不測の事態に臨機応変に対応するためにも、ハード・ソフトの両面における様々な対応策が必要になってくると考えています。
    また、現在、部活動の地域移行を進めていますが、教員の働き方改革の側面とともに、地域の子どもたちを地域全体で育てていこうとする子育ての側面も大切にしながら、その機運を盛り上げていく必要があります。
    そのために、地域での新たな活動を通じて、子どもたちを育てたいと考える教職員の兼職兼業を含めた労働環境を国・県に要望し、整えながら、同時に地域に埋もれている指導者を発掘していきたいと考えています。

3.<新時代に対応した学校づくり>を目指して!

    次に、日本全国を見渡してみますと、少子化の流れの中、児童生徒数が減少し、小中学校の統廃合が加速しています。
    本市においては、まだまだ児童生徒数の増加が見込まれる地域もある中、近い将来、更新時期を迎える校舎が多くあります。この機会を好機と捉え、新しい時代を見据えた地域とともにある学校となるよう、様々な機能を持ち合わせた学校を整備してまいります。
    まずは、現在、建替えを含めた学習環境の整備検討を進めている西小学校について、地域住民や保護者等の声もお聞きしながら、新時代に対応した学校づくりを目指してまいります。
    あわせて、小中学校の体育館・武道場へのエアコン設置については、令和7年度より中学校から順次設置する計画であります。地球温暖化、沸騰化と言われる現代において、子どもたちの命を守りながらも、熱中症対策や節電対策について学び、また、エアコンのない環境でも働く人がいるおかげで社会が成り立っていること、そして、子どもたちや教職員には、将来、誰もがそのような環境で働く可能性のあることを現実の問題として再認識する話し合いを促してまいります。

4.<自立した「生涯の学び」>を目指して!

    次に、日進市は市民活動が活発な自治体であり、多くの方が様々なスポーツ・文化・芸術に親しまれています。
    学び支援という観点から考えますと、講座を受けた後、その学びを地域のみなさんと共有し、仲間を募って深めていこうという活動にまで発展させたいと考えています。そして、それぞれの活動の目的をしっかりと念頭に置いて、様々な講座などと内容が重なる部分に関しては協力、精選し、「生涯の学び」を自らの力で実践できるよう支援に努めてまいります。
    一方で、文化芸能活動の担い手不足が課題になっています。将来の担い手となる若者や子どもたちに、市民活動等で得た知識を伝えてもらったり、作品などに触れてもらったりすることで、その活動のすばらしさを実感し、興味関心を持ってもらう取組に注力したいと考えています。そして、引き続き、子どもから高齢者まで、生涯を通して健康で、個々が生きがいを持ち、楽しみながら学びたいときに学べる環境がある、そんなまちづくりを目指してまいります。
    特に、「生涯の学び」を自らの力で行うためには子ども時代からのキャリア教育も重要です。本市の強みである大学や企業、団体との連携を利用した職場体験やスポーツ・文化芸術体験、また「音楽のまち日進」として音楽をテーマとした事業やジブリパークと隣接する地域性を活かしたアニメーションを始めとする体験事業などにより職業観を醸成してまいります。そして、そういった多くの選択肢の中から生涯を通して続けられるものは何なのかを、自らに問いかけるきっかけとしてもらいたいと考えています。
    すなわち、キャリア教育を通じて、自分自身の本当の興味関心はどこにあるのかを探し求める旅が、自己実現を含めた「生涯の学び」につながって行くと考えています。そういう意味からも、市民会館を「音楽のまち日進」の中心地として位置付け、市民の様々な活動の場や発表の場とするだけでなく、大学連携を生かして、発表の場を求めている学生の自己実現の場となるよう努めてまいります。そのためには、市民会館自体が丸ごと音楽ホールや美術館になるような工夫を重ねていくことが必要です。さらに、次のステージとして、そこで行われる様々な講座・教室の指導者が躍動し、人としての魅力を発揮することで、自己実現に向かう生の姿を市民や子どもたちに見せてほしいと願っています。
    加えて、「音楽のまち日進」の象徴である吹奏楽の活動をさらに活発にするためにも、練習や楽器収納が可能な場所として、学校や様々な生涯学習施設の活用を検討してまいります。
    そして、小中学生を対象に「日進版ラーケーションの日」を設立し、さらなるキャリア教育の充実を目指したいと考えています。愛知県版「ラーケーションの日」は、家族での体験活動を基本にしていますが、日進版は、子どもたちのボランティア活動、市民活動への参画、職場体験など、将来のキャリアや「生涯の学び」に向けた活動につながることを期待するものです。
    また、自立した「生涯の学び」を行ううえでもキャリア教育を学ぶうえでも、読書は疑似体験ができる大切な存在です。そこで、市立図書館を中心に、学校とのネットワークを活用し、電子書籍と紙の書籍と両方で本のすばらしさを広げていきたいと考えています。あわせて、様々なボランティアの方々の活動を支援し、読書好きな子どもたちを育みながら、図書館が生涯を通して心からくつろげる市民の憩いの場となるよう、居心地の良い環境を整えることに注力してまいります。

5.<未来を担う子どもたちの育成>を目指して!

    思春期を迎える子どもたちにとって、大人が、自身の行動を振り返らずに、頭ごなしに「何々しなさい!」と言われるのが一番嫌な時期でもあります。そんな子どもたちに対して、学校現場では授業において政治の仕組みを学び、児童会や生徒会、委員会活動などの特別活動を通して、民主主義の仕組みを実感させ、将来への不安や社会への不満をそのルールに則って解決できるよう力を入れています。しかし、まだまだその成果が見えていないのが現状です。
    子どもたちの中では、昨年度までにその仕組みを使って、「制服の選択肢を増やしたり、リボンなどで変化をつけたりしたらどうか」、というような話し合いが行われ、成果として、「意見を言えば、何とか現状を変えることができる」と実感し始めています。そこで、子どもであっても「わたしたちのまち日進市」をより良くすることができると実感できる取組を、行政の仕組みの中に取り入れていきたいと考えています。
    また、現在、激しく変化している世界の中にあって日本の立場はどうなっていくのでしょうか。エネルギー資源や食料資源などを海外に依存している日本にとって、世界を相手に海外の国と連携を強め、協力して生き抜いていかなければなりません。そのためには、子どもの時代から豊かさの中で与えられることに満足している子どもたちには、たくましさ・ハングリー精神や生き生きとした躍動感を実感できる場を体験してほしいと考えています。そこで、子どもたちの意見や思いを聞きながら、中学生を対象に「提案型研修」を検討してまいります。
    あわせて、いつ来るかわからない災害に備えて、水が無くても、電気が無くても数日間は生きていくことのできるサバイバル能力を学習し、体験し、育成する場が欲しいと考えています。総合運動公園にはキャンプ場もあることから、その有効活用について検討してまいります。
    また、2年前、東部丘陵地を視察に行ったとき、偶然、ニホンカモシカを見ることができました。まだまだ、日進市には貴重な自然・生態系が残っています。日進市をさらに愛することのできる大切な財産です。そこで、例えば、遊歩道を歩きながらマイナスイオンを浴び、森林浴の中でヨガなどをし、東部丘陵の自然を体感し、学習できるような場所とするなど、将来的に総合運動公園一帯を、「地元の自然」「生きる術」「心と体の癒し」を学び体感することのできる生涯学習スポットとしての活用を目指したいと考えています。
    次に、現代文明に慣れ切った現代人は、スマートフォンが1日手元にないだけでも、不安で仕方がないと言われています。子が親に何か伝えようとしたら、親はスマートフォンを見ていて気づいてもくれず、子が寂しさを感じている、そんな、片時もスマートフォンを手放せない時代となった今、愛知県内の多くの学校では、不登校児童生徒だけではなく、家庭や地域に居場所のない子どもたちがSNSを通じてつながり、学校からドロップアウトしてしまう案件が少なからず出てきています。以前の校内暴力や荒れではありませんが、子どもたちのSOSに変わりはありません。
    そこで、幼少期から家庭と協力して、スマートフォンのメリット・デメリットを親も子も学んでもらいたいと考えています。そうすることで、子どもと向き合いながら、子どもの小さな心の変化に敏感に対応できる親子関係が構築できると考えています。
    今後、スマートフォンによって親子関係は今まで以上に脆弱になるでしょう。今、この時を逃しては、さみしさを抱え、愛情に飢え、孤立感を深めている子どもたちを守ることはできなくなってしまいます。そのための家庭教育を推進してまいります。

令和6年第3回日進市議会定例会

<結び>に!

    結びになりますが、名古屋市に出張で出かけるとき、名古屋市や近隣市町の登校の様子をよく見かけます。各分団に付き添いの大人が数名おり、なおかつ、各交差点にも交通指導の大人が数名、ボランティアで立っているところもあります。我々日進市も子どもたちのために、精一杯の交通安全環境を整えたいと考えていますが、まだまだ、子どもたちのためにボランティアで参加したいと考える市民は少ないように感じています。さらに、毎朝、交差点に立っていると残念な運転をする大人が少なからずいるのも事実です。
    子どもたちよ!交通指導員さんや大人が守ってくれるからではなく、まずは、自分の命は自分自身で守っていく強い気持ちを持ちましょう。
    そして、大人のみなさん!学校がやってくれない、行政がやってくれないと言う前に、自分自身の子どもの命を守るために自らができるときに、できることをするボランティアとして、子どもたちの命を守っていきませんか。
    もうすでに、地域で子どもたちを育てることで自らも学ぶ、そんな時代になっていると捉えています。
    あわせて、最近の傾向は過保護に過干渉、ネグレクトや虐待、大人の幼稚化傾向など、子どもたちの自立心を育てる環境は年々弱くなってきています。失敗をさせない、挑戦をさせない、大人が手を出したり口を出したりする、そして、子どもの顔色をうかがいながら言われた通りにし、大人として叱れないのです。
    そういった中、わが子に挑戦させる重要さは理解しているが、失敗をさせたくない親心との葛藤や、子ども心が分からず大人として親として叱れない子育ての難しさや迷いを解決できるような、市民向けの生涯学習やハッピーステップ井戸端の会など、親としての悩み相談の受け皿もさらに充実させたいと考えています。
    まさに、今後の厳しい社会を生き抜くためには、今、社会に出るまでの多感で貴重な時期だからこそ、目先の環境だけを整えるのではなく、失敗を含め、多様な経験をさせ、自立したたくましい人材に育てることが重要なのです。そして、それはすべての市民にもあてはまることだと考えています。
    最後に、ある重度脳性まひの子どもの詩を読みたいと思います。
        人は人として生きるのです
        障害者として生きる以前に 人として生きるのです
        何ごとも 今の楽しいこと 苦しいことは続かない
        どんな苦しみも 自分がコントロールできることはある
        どんな苦しみにも 意味があると信じている
        でも お母さん ぼくが生まれてきて ごめんなさい
という詩です。すべての人が堂々と胸を張り、誰に対しても必要以上の気遣いをすることなく、みんなで助け合い、同じように幸せを追求することのできる、そんな社会・日進市を目指して頑張っていきます!

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