日進市の自然環境
市街地と水・緑が共存するまち
本市は、市北東部に位置する東部丘陵地や市中心部を流れる天白川、岩崎川とそれらの川沿いに広がる農地、市街地の中でも自然を感じられる御嶽山、北高上緑地など、大都市近郊の住宅都市でありながら、貴重な動植物が多く生息する里山、河川、湿地等の豊かな自然を有するまちです。
天白川
本市の東部丘陵地に源流を有し、市内を東西に流れる天白川の周辺には、農用地区域が広がっていて、アオサギ、ダイサギ、ケリやカルガモなどの野鳥や水生生物が生息する河川環境と緑が連続しています。オイカワ、トウカイヨシノボリ、タモロコなどの魚類が生息し、魚採り、バードウォッチング、川辺の散歩などを楽しむ人が多く見られ、身近な河川として親しまれています。
御嶽山
御嶽山は岩崎町に位置する丘陵地で、かつては、薪炭用材のための乱伐等により禿山になったこともありましたが、植林等により現在は高木の繁る山林となっています。尾根や斜面では、コナラ、アベマキ等の落葉広葉樹林が主体で、谷筋では、シダ類が多くみられます。タヌキやキツネが生息するなど、動物、植物ともに多くの種がみられ、市内でも生物多様性の高い地域となっています。
北高上緑地
北高上緑地は市の中心部に位置し、住宅街の中においてまとまった面積が残された貴重な里山林です。コナラなどの広葉樹、一団の竹林、コバノミツバツツジ群落など多様な森の景観を楽しむことができる緑地です。中には東海丘陵要素の一種とされる希少なフモトミズナラも自生していて、地域特有の里山の生態系も残されている重要な場所です。また、古い砂防堰堤等もあり、昔から人の手によって森林の保全が図られてきた様子がうかがえます。
東部丘陵地
市の北東部には天白川の源流にもなっている丘陵地が広がっています。この中には環境省が選定した「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」にも含まれている湧水湿地やため池があり、国の絶滅危惧種に指定されている「シラタマホシクサ」、「ウシモツゴ」、「カワバタモロコ」や準絶滅危惧に指定されている「サギソウ」、愛知県の準絶滅危惧として指定されている「ヒメタイコウチ」、食虫植物として貴重な「トウカイコモウセンゴケ」、世界最小のトンボの一種である「ハッチョウトンボ」などのこの地方の固有種や希少な動植物が生息しています。本市の東部丘陵地は、尾張地方の都市周辺において、東海丘陵の特性を示している現存する数少ないエリアとして、生態的価値が高い地域といえます。
市域に生息生育する多様な動植物
市域の里山、緑地、湿地、ため池などでは、次のとおり様々な動植物が生息生育しています。

区分 | 場所 | 市域に生息生育する希少種等多様な動植物 |
---|---|---|
A:丘陵地 | 御嶽山 | A-1タヌキ、A-2ニホンヤモリ、A-3キツネ |
A:丘陵地 | 北高上緑地 | A-4コバノミツバツツジ、A-5フモトミズナラ |
B:湿地・ため池 | 五色園湿地等 | B-1ウシモツゴ、B-2ハッチョウトンボ、B-3トウカイコモウセンゴケ |
B:湿地・ため池 | 大清水湿地 | B-4ハルリンドウ、B-5サギソウ、B-6ギフチョウ、B-7マメナシ |
B:湿地・ため池 | 岩藤新池等 | B-8シラタマホシクサ、B-9ヒメタイコウチ、B-10ホトケドジョウ |
B:湿地・ため池 | 鶴思慕上池 | B-11ハグロトンボ、B-12トノサマガエル |
B:湿地・ため池 | 愛知池 | B-13アサギマダラ、B-14カルガモ、B-15ミサゴ |
B:湿地・ため池 | 林池 | B-16マルタニシ、B-17ドブガイ |
B:湿地・ため池 | 弁天池・上納池 | B-18ギンヤンマ |
C:市街地・公園 | 水晶山緑地 | C-1ネブトクワガタ、C-2ナナフシモドキ |
C:市街地・公園 | 市街地・公園 | C-3キシノウエトタテグモ |
D:社寺林 | 白山宮 | D-1ツブラジイ、D-2アラカシ |
E:河川 | 天白川・岩崎川 | E-1カワセミ、E-2オイカワ、E-3ツリガネニンジン、E-4コウベモグラ |
E:河川 | 折戸川等 | E-5ゲンジボタル・ヘイケボタル |
F:田 | 田園 | F-1ケリ、F-2ヌマガエル |
希少種
本市には、シラタマホシクサをはじめとする、この地域に特徴的な東海丘陵要素植物群(伊勢湾を取り囲むこの地域の丘陵や台地上に成立した湧水湿地に特有の植物)の生育もいくつか確認されています。これらの多くは絶滅危惧種であり、学術的にも価値の高い植物となっています。また、希少な淡水魚も複数生息しています。以下が本市で確認されている希少種の一例です。
シラタマホシクサ サギソウ
(国・絶滅危惧種) (国・準絶滅危惧)
ウシモツゴ カワバタモロコ
(国・絶滅危惧種) (国・絶滅危惧種)
自然共生サイト
自然共生サイトとは、環境省が認定する「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」のことです。
生物多様性の価値を有し、事業者、民間団体・個人、地方公共団体による様々な取組によって、生物多様性の保全が図られている区域であり、保護地域との重複を除き、「OECM(Other Effective area-based Conservation Measures:保護地域以外で生物多様性保全に資する区域)」として国際データベースに登録されます。
五色園湿地・ため池
令和6年10月21日に東部丘陵地内に存在する五色園湿地とその周辺のため池が自然共生サイトに認定されました。
認定された自然共生サイトの概要は以下のとおりです。
名称 | 愛知県日進市の五色園湿地・ため池 |
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場所・面積 | 愛知県日進市岩藤町一ノ廻間 1.9ha |
管理目的 | ・市内に残された貴重な自然環境として将来へ継承するため。 ・自然観察などの体験活動を通じ、市民が身近な自然とふれあい、生物多様性への理解を深める場として活用するため。 |
概要 | ・愛知県日進市に位置する宗教公園内にある湧水湿地とため池 ・湿地にはシラタマホシクサやトウカイコモウセンゴケなど、東海地方の湿地を代表する東海丘陵要素植物が生息 ・ため池には希少種のウシモツゴやカワバタモロコが生息 |
生物多様性の価値 | ・公的機関等によって、生物多様性保全上の重要性が既に認められている場 ・希少な動植物種が生息生育している場 |
この記事に関するお問い合わせ先
環境課
電話番号:0561-73-2883 ファクス番号:0561-72-4603
更新日:2024年10月21日