高齢者移動支援事業
住民が主体 地域での支え合い・助け合いの取組が進められています
10団体が活動中
日進市では、住民ボランティアや地域の助け合いの力を借りて、日常の買い物や自宅と病院の間の移動など、移動ニーズに対応して「道路運送法上の許可・登録を要しない輸送」の範囲で、自家用車を使って高齢者等の移動を支援する取組が行われています。
現在、9地区において10団体が活動しています。
愛知県のモデル事業として実施(令和2~4年度)
令和2年度から令和4年度まで、愛知県のモデル事業として、運転に不安を持つ高齢者が自家用車に依存しなくても生活できるよう、高齢者の移動を支援することを目的に、高齢者移動支援推進事業を実施してきました。
実施に当たり、車両の確保や移動支援専用保険に関する勉強会を行うことで、各地区の実情に応じた運行方法を検討してきました。令和2年度に5地区、令和3年度に8地区、令和4年度に9地区が実施又は実施に向けた検討を行いました。
生活支援コーディネーターが地域と調整
「高齢者移動支援推進事業」の実施においては、市の配置する生活支援コーディネーター(注釈)が地域との調整を図りながら進めてきました。生活支援コーディネーターは、地域での困りごとに対して、移動支援を実施することが難しい地区では、移動スーパーの誘致やワンコインサービスの実施など、各地区の実情に応じた解決策を探ってきました。
(注釈)高齢者の生活支援等サービスの体制整備を推進していくことを目的として、地域において、生活支援等サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能(主に資源開発やネットワーク構築の機能)を果たすコーディネーターを配置。日進市では、市全域を担当する第1層生活支援コーディネーター、西部・中部・東部の各生活圏域を担当する第2層生活支援コーディネーターを設置しています。
移動支援を通した新たなコミュニティの形成
日進市では、高齢者の方の移動の困りごとに対する解決策(手段)の一つとして、移動支援が定着してきました。各地区では、移動支援が行われる中で、買い物や通院以外のレクリエーションとして外出イベントが開催されたり、利用者同士がお互いに気にかけ合ったりする関係が育まれるなど、新たなコミュニティの形成が進んでいます。
様々な運行形態で実施中
定時定路線型(ルート巡回型)
現在、市内9地区で、各地域の特性に応じた移動支援が行われています。
日東東山、南ケ丘、岩根、藤塚、日生東山、香久山の6地区では、発着時間とルートを決めて巡回運行する定時定路線型で移動支援が行われています。
(1)日東東山地区
令和2年6月から、定時定路線の運行形態による移動支援の検討を開始。同月に、地区内での移動支援に関するニーズ把握(利用頻度や希望する行先等)のためのアンケート調査を実施。
「日東お出かけ支援隊」を結成し、令和2年12月から定時定路線での運行を開始。
- 運行日:毎週月曜日及び木曜日(年末年始、祝日を除く。)
- 運行数:午前3便、午後2便(第1便は予約運行)
- 路線:つどいの場、公共施設、近隣の病院・スーパーを経由
- 会費:1世帯 3,000円/年
利用者間のコミュニケーションを深めるために、年数回、通常運行とは異なる場所に出かけるお楽しみ企画を実施。

お出かけイベント(岩崎城)

お出かけイベント(刈谷市洲原公園)

お出かけイベント(みよし市ふるさと会館鶴駕苑)
日東お出かけ支援隊 団体概要 (PDFファイル: 273.6KB)
(2)南ケ丘地区
令和2年9月に移動支援を考える「おでかけプロジェクト」を立ち上げ。令和2年10月に、地区内での移動支援に関するニーズ把握(利用頻度や希望する行先等)と支援者(ドライバー)の掘り起こしを兼ねたアンケート調査を実施。
南ケ丘福祉まちづくり協議会内に「南ケ丘おでかけ支援部会」を立ち上げ、運行形態や運営体制等について検討。
令和3年3月23日から定時定路線での試行運行、令和3年5月から本格運行。
- 運行日:毎週火曜日及び金曜日、第2・4土曜日
- 運行数:1日1往復
- 路線:近隣の駅、スーパーなどを往復
- 会費:一人 2,000円/年
愛知県「人生100年 あいち・お達者名鑑」 お達者No.1 南ヶ丘るんるん号



(3)岩根地区
令和3年4月に岩根地区における住民主体の支え合い活動を考える「支え合い活動検討会@岩根」を立ち上げ、6~7月に、支え合い活動に関する住民アンケートを実施。定例会や住民座談会、先行地区の見学等を行い、まずは外出サポートから始めることとし、運行形態や運営体制等について検討。
住民主体で地域課題の解決と協働する地域づくりを活動目的とする「ささえあい岩根」に改名。地区内で運転ボランティアや付き添いボランティアを募集。
令和4年2月23日から定時定路線での試行運行、令和4年4月から本格運行。
- 運行日:毎週水曜日
- 運行数:1日2往復
- 路線:地区内のクリニック、近隣のコンビニ、スーパーを往復
- 会費:一人 1,000円/年



(4)藤塚地区
令和3年4~8月に、地域の支え合い全般に関するアンケート調査を実施して、11月に、アンケート集計結果報告会を開催。
「ささえあい藤塚」結成、アンケート結果でニーズの多かった「移動支援」「ほっとカフェ」「学習支援」「にっしん体操」「配食」の部会を立ちあげ。先行地区の見学等を行い、部会定例会や行き先アンケート、お試し運行の結果をもとに、運行形態や運営体制、車両等について検討。ボランティアドライバー養成講座の受講。
令和4年9月から定時定路線での試行運行、10月から本格運行予定。
- 運行日:毎週金曜日(午後) 南北2コースを隔週で運行
- 運行数:1日1往復
- 路線:地区内の集会所、近隣の金融機関、スーパーを往復


(5)日生東山地区
令和3年7月に、まち協設置に向けた協議スタート。10月には、まちづくり協議会設立準備委員会発足。活動イメージとして、当初から移動支援や子ども食堂の希望あり。継続して毎月準備委員会を開催。自治会との連携の仕方、対象範囲(自治会員加入状況の是非)等を検討。
令和4年2月に、「日生東山園まちづくりの会」として正式に発足、9月移動支援の協議をスタート。中部地区第2層協議体参加者が、協議体の内容(他地区での取り組み)を報告をしたこともきっかけに。
令和5年1月~2月に、定時定路線での試行運行
令和5年3月に、わくわく号として出発式を開催
- 運行日:第1・3土曜日午後
- 運行数:1日2往復
- 路線:集会所、団地内、スーパーなどを往復



(6)香久山地区(おしゃべりカフェ香久山)
地域住民からの意見を受けて、令和6年4月、香久山地区在住の有志が発起して、住民同士のゆるやかなつながりが進むことを目的に、会を立ち上げた。
外出機会や地域におけるコミュニティづくりの機会を設けるため、巡回形式により参加者を喫茶店まで送迎して、おしゃべりを楽しむ場を提供する。
愛知県のモデル事業が終了以降、初の立ち上げ団体として、令和6年10月から活動を開始。



おしゃべりカフェ香久山活動概要 (PDFファイル: 276.2KB)
マッチング型
香久山、五色園、岩崎台の3地区では、つどいの場や買物、病院など、利用者の要望に応じて送迎を伴うマッチング型の付添い支援が行われています。
(1)香久山地区
平成29年度に、高齢化社会に向けて、地域の助け合いが必要であるという考え方から検討を開始。香久山たすけあうまちづくり協議会が発足。
平成31年4月から、お互い様の理念に基づき助け合う仕組みとして「ワンコインサービス」の運用を開始。
実施形態は、ワンコインサービスの一つとして、送迎を含むほっとカフェ、買い物、病院への付き添い支援。(移動支援に係る部分は無償)
(2)五色園地区
在宅の高齢者に対し軽度な日常生活の援助を行うワンコインサービスを平成28年12月に開始。
平成31年2月、近隣のスーパーマーケットの閉店をきっかけとして、ワンコインサービスの新機能として「買い物同行サービス」について検討。10月に、地区内での移動支援に関するニーズ把握と支援者(ドライバー)の掘り起こしを兼ねたアンケート調査を実施。
実施形態は、ワンコインサービスに準じて、買い物同行サービス(ドアツードア便、相乗り便)、病院同行サービス、公共施設同行サービス、複数カ所同行サービス(移動支援に係る部分は無償)。
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症防止のため、運行をたびたび休止したが、令和3年度から、本格運行を実施。
令和5年度からは、市の車両を利用する相乗り便を開始。
主な行先:市内及び近隣のスーパー、病院、公共施設

相乗り便の試乗会(出発見送り)

(3)岩崎台地区
令和3年4月に、移動支援検討委員会の立ち上げについて検討を開始、8月に移動支援を考える「移動支援検討委員会」を立ち上げ。8月~令和4年3月に、計6回の検討委員会を開催。道路運送法の規定や車両、自動車保険について意見交換。先行地区の見学等を行うほか、12月には岩根地区と合同で移動支援に係る保険勉強会を開催。
令和4年4月に、熟年友の会の会員を対象に、お出かけ支援に関するニーズ把握(利用意向の有無や希望する行先等)するためのアンケート調査を実施。
令和5年2月に、住民向け説明会を開催。4月から本格運行へ。
現在は、定時定路線型の運行について検討中。

ついで支援型
日進ニュータウン地区では、運転者の買い物などのついでに車に同乗させる移動支援が行われています。
日進ニュータウン地区(米野木町地内)
昭和38年頃に開発された団地で住民の高齢化が進むとともに、駅やスーパーマーケットにも距離のある地区。
「にっしん地域支え合い円卓会議」において、住民主体の移動支援の事例を知ったことがきっかけ。地区内での呼びかけに対して、最初の説明会に40名が参加。
令和元年11月から、火曜日及び金曜日に、行先をスーパーマーケットに限定した住民主体による買い物移動支援を開始。
利用者にアンケートを実施(2件回答)。別の店舗への買い物移動支援を希望する声あり、利用者とドライバーとの話し合いで行き先店舗や出発時間を決めることにした。
今後の課題 継続していくために
人材の確保
現在、各地域で高齢者の方への移動支援事業がボランティア活動として行われていますが、今後も継続していくためには課題もあります。
その一つが、事業の担い手となる人材の確保です。各地域で行われている移動支援事業では、ドライバーや付き添い支援など、様々な役割の担い手によって事業が運営されています。安定して長く事業を継続していくためには、担い手となる人材の確保が必要です。
市では、移動支援への参加意向をお持ちの方を対象にして、ボランティアドライバー養成講座を開催して、移動支援を実施していない他地区からの人材の掘り起こしを行っています。
また、現在ボランティアドライバーとして活躍をされている方々にも、運転技術や交通ルールを再確認するために、フォローアップ講習を実施しています。



車両の確保
愛知県のモデル事業「高齢者移動支援推進事業」の実施において、希望する地域には市でリースした車両の貸し出しを行っていました。令和5年度以降の県モデル事業終了後も継続して車両を利用できるよう、市では高齢者移動支援専用車両を1台確保するとともに、日本赤十字社愛知県支部と実施する高齢者健康生活支援事業(モデル事業)の一環として車両を1台借り受けて、希望する地域への貸し出しを行っています。
財政支援
高齢者の介護予防・生活支援を推進するために、令和5年4月から「日進市住民主体による介護予防・生活支援サービス事業補助金交付要綱」を整備し、住民主体による介護予防・生活支援サービスの実施に要する経費の一部を助成しています。移動支援にかかる経費も対象として、事業実施に対する財政面での支援を行っています。
この記事に関するお問い合わせ先
地域福祉課
電話番号:0561-73-1484 ファクス番号:0561-72-4554
更新日:2024年12月27日