令和5年6月 市長所信表明
1 はじめに
令和5年第2回日進市議会定例会の開催にあたり、所信表明をさせていただく機会を賜りましたので、議会の皆様、市民の皆様に感謝申し上げ、市政運営に対する所信と、施策の基本的な考え方を述べさせていただきます。
市長といたしまして2期目のスタートに際し、多くの皆様から叱咤激励のお声やご期待のお言葉を頂戴し、改めて責任の重さを痛感しているところでございます。
今後も、市民の皆様のご意見を真摯にお聞きし、元気に活動される皆様を応援しながら、日進市に「住んでみたい」「住んで良かった」「住み続けたい」と思っていただけるよう、市の魅力を高め、第6次総合計画に掲げる将来都市像である「ともに暮らす 私たちがつないで創る 人とみどりを大切にするまち 日進」の実現を目指してまいります。
市民の皆様、議員各位におかれましては、より一層のご理解とご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
私が市長に就任した4年前、自動運転バスは未来のテクノロジーという認識でありました。日進市内を走行する姿が、これほどまで早く実現するとは、私自身、想像もしていませんでしたし、4年前の前進ビジョン・前進施策にも、自動運転に関する文言はございませんでした。
今後の4年間に取り組みたいことを記載いたしました「前進コミットメント」につきましては、私が思い描くまちづくりに関して、そのいくつかをキーワードにして表現させていただいたものでございます。
しかしながら、議員の皆様を含め、多方面からの優れた事業提案や、市民の皆様にとって、より大きなメリットにつながるような発想や施策が現じた際には、必ずしもこのコミットメントにこだわらずに取り組んでまいります。その理由といたしましては、社会が変化する時、従来の慣例や過去の成功例にとらわれず、常に状況を見極め、時宜にかなった最適な判断を下すことが重要であることを痛感してきたからでございます。
それでは、今後のまちづくりの大きな柱につきまして、私の考えを述べさせていただきます。
2 市政運営の方針
はじめに、「子育て支援・教育の充実」でございます。
子育ての過程において、保護者の皆様の悩みはいかなる時代も尽きないものと思います。先般、子どもや若い方々が自分らしく幸せに成長でき、暮らせるように、社会全体で支えていくこと、そのための取組を進めていくための基本事項を定めた「こども基本法」が施行されました。
これから私が子どもたちの施策で大切にしたいことは、こうした子どもを真ん中にする視点でございます。
国の子どもに関する政策は、児童手当の拡充や学校給食費の無償化を始め、子育て施策の所得制限の在り方など、様々な議論が進められております。今後も多くの施策の実施や見直しが展開されると考えておりますので、これまでと同様に国の動向を注視してまいります。
子育て支援の取組といたしましては、妊娠期から伴走型相談支援を実施する中で、出産後間もなく、子育てや自身の体調に不安を抱える母親に対する産後ケアの充実を図るなど、子どもの成長に応じて切れ目のない、その子に合った子育て、子育ち支援が充実されるよう取り組んでまいります。
次に、学び・教育につきましては、岩田教育長を中心とした新たな2部体制の下、例えば、音楽を身近にする「音楽のまち」に絡めた学びの支援、異世代・異年齢の仲間との交流による生きがいづくり、健康づくりなど、生涯を通した様々な学習支援の取組を強化してまいります。
さらに、大学・企業等との連携を活用し、子どもたちが生きる力を育むキャリア教育や教育DXを推進するなど、積極的な学びの施策を進めてまいります。この他、コミュニティスクール、部活動等の地域移行、特別支援教育や不登校対策のため、教育現場を知る職員を迎えながら、地域とつながる、開かれた学校づくりにより、教員の負担軽減につなげてまいります。
また、学校現場と連携し、子育て世帯への相談機能の充実を図るなど、関係部局がしっかりと連携する体制づくりを進めてまいります。
次に、「無料化」でございます。
この点につきましては、主に経済支援策といたしまして、令和5年度に予算計上させていただいた「18歳未満3子目以降の保育料無料化」に加え、「高校生通院医療費の無料化」、「後期高齢者のくるりんばす乗車料金の無料化」を実現してまいりたいと考えております。
次に、「あふれる活気」と「まちをつくる方針」についてでございます。
より活気あふれる日進市を目指し、県内最高レベルの企業誘致促進の優遇制度創設や日進東部企業団地の整備など、これまでの取組をさらに加速させ、雇用の創出や地域経済の活性化を図るとともに、未来志向ビジネスにチャレンジするベンチャー企業やスタートアップ企業等の誘致・支援を積極的に進めてまいります。
また、観光施策では、道の駅を観光の中核施設に位置付け、日進市を全国に売り出す発信拠点にするとともに、市内の牧場や岩崎城、大学、カフェやレストランなど、地域の核となる資源を活用してまいります。さらに、プロジェクションマッピング、音楽イベントなどと連携を図り、本市ならではの魅力ある観光コンテンツを造成することで、まちづくりの相乗効果を高めてまいります。
さらに、道の駅の物品販売スペースやふるさと納税の返礼品を市内の農産物や特産品などの販売ルートとし、その拡大に取り組んでまいります。また、障害のある皆様の就労支援となるよう、農業と福祉が連携する「農福連携」などに取り組みながら、農業の担い手不足解消や地域交流などにつなげてまいります。
日進市には、大ヒットアニメーションの映画監督や人気声優など、アニメ業界の最前線で活躍される方が多いほか、映像メディア等を学ぶ大学が周辺に立地していることなども活気づくりの大きな資産でございます。
こうした資産を融合させ、市内外のステークホルダーや観光施策などが連携するアニメーション制作体験を具現化し、さらなる活気につなげていくアニメーション制作体験施設の開業を目指す、新たなチャレンジをしてまいりたいと考えております。子どもたちがこうした技術に触れ、本市の諸先輩方の活躍を知り、夢を抱き、自分の将来の姿を意識し、自己の人生設計に取り組むといった、キャリア教育推進のモメンタムを形成してまいります。
また、日進市のポテンシャルを最大限に発揮させるため、スマートインターチェンジの整備を着実に進めるほか、名古屋瀬戸道路を始めとする幹線道路の整備促進に向けた取組を積極的に進めてまいります。あわせて渋滞対策ともなる野方三ツ池公園線や赤池・浅田2号線などの道路整備につきましても、引き続き、しっかりと整備を進めながら、市民の皆様の利便性向上や地域の活性化を図ってまいります。
良好な市街地形成のための香久山西部や日進駅西等の土地区画整理事業、赤池駅等の駅前再開発、市民の皆様にとって憩いの場となり、地域の顔として魅力ある公園の整備など、活気に満ちたまちをつくるため、さらなる前進を続けてまいります。
次に、日進の「未来の姿」についてでございます。
まず、GX(グリーントランスフォーメーション)推進についてでございます。令和4年2月に宣言いたしましたゼロカーボンシティにつきましては、令和5年度に次世代自動車購入に係る補助金などを導入いたしましたが、今後は、家庭に次世代自動車の充電設備を設置する際の補助制度を創設するなど、さらなる普及促進を図ってまいります。
さらに公共施設につきましては、道の駅整備事業の修正設計において、ZEB Ready化を進め、施設のエネルギー消費量50%削減を図ってまいります。また、国が創設する脱炭素化推進事業債などを最大限活用し、令和7年度を目標に、市役所、市民会館、学校施設などで省エネ改修やLED照明を導入するほか、公用車の次世代自動車化など、集中的な取組を進めることで、官民挙げてゼロカーボンシティの実現を目指してまいります。
次にDX(デジタルトランスフォーメーション)です。令和9年度を実施目標とした国のデジタル田園都市国家構想において、令和4年度は、本市のDX元年と言える年となりました。今年の1月には、未来の乗り物と考えていた自動運転バスが市内を走り、3月には、マイナンバ-カードの利活用を図るための本市の提案が、県内で唯一採択され、交付金の交付決定がされました。市民カード化構想の下で、市民の皆様の生活スタイルにも大きな変化が起きていくこととなります。
本庁舎1階の市民課窓口等において目指している「書かない・待たない窓口」をさらに進化させた「市役所に行かずに済む」スマ-ト窓口の実現、粗大ごみ回収予約の24時間受付、自動運転バス予約システムの開始、もっと使いたくなる子育てアプリの普及や、選挙投票入場受付システムの導入により、市民の皆様にとって、より利便性の高い行政サービスを提供してまいります。
この5事業は、市民カード化構想の序章であり、今後は様々な分野での利用を拡大してまいります。あわせて、デジタル技術の推進により、各種サービス利用に不安を感じる方々への支援にも取り組んでまいります。
日進市は、これらのDXを推進することで、愛知県内の先進自治体を目指し、市民の皆様の快適な暮らしを先進技術で支える自治体DXのフロントランナーとなるべく、率先して「集団の前に出る」ことに挑戦してまいります。
現在、基本構想づくりを進めております北庁舎の建て替えにつきましては、ZEB化を検討するともに、周辺に点在する、にぎわい交流館、中央福祉センター、保健センターなどの施設機能の再編を視野に入れるなど、公共施設全体の最適化を図ることで、本庁舎を含めた整理統合を進めてまいります。
また、これからの市役所は先ほど申し上げましたDX化が進みますと、市民の皆様が行政手続きなどで訪れる機会が減少することが予想され、その役割は大きく変わっていくものと考えております。例えば、1階にフリ-スぺ-スを設け、学校給食が提供できる場所を設置するなど、市民の皆様にとりましても、毎日行きたくなるような市役所づくりを目指してまいります。
最後に、SDGsへの取組でございます。
日進市は、今なお人口が増加し、発展し続けている自治体でございます。しかしながら、日本の社会的潮流である少子高齢化が本市にも影響を与え、令和17年をピークに人口の減少が予測されており、今から人口減少対策を実践することは、市の重要な責務であると考えております。
市民サービス向上や事務事業の効率化を目指した行財政改革のほか、ふるさと納税や企業誘致、観光施策の充実などを図ることで、新たな財源獲得を目指し、将来を見据えた「持続可能なまちづくり」を進めてまいります。
また、SDGsの達成や将来財源の確保には、民間事業者の協力を得ながら、その機動力や新しいノウハウなどを活用していくことも肝要でございます。今後も成長が期待できる「ふるさと納税」では、民間のノウハウを活用したグランピングなどの観光施策と連携を図るほか、市内企業や今後立地する企業に返礼品の開発を促していくことで、さらなる増収に取り組んでまいります。そして、寄附金増収分の一部を、次への新規事業や特産品づくりに再投資するなど、将来財源の好循環を生み出していけるよう努めてまいります。
この他、市においては、選択的週休3日制度の導入、部署の枠を超えた兼任業務を可能にするなど、働き方の多様化を推進することで、持続可能な行政運営を担う人材を確保してまいります。
むすび
DXやGXの推進などの諸課題や、少子高齢化社会の急速な進行、4年前には想像すらできなかった、新型コロナウイルス感染症の拡大、国際紛争に起因する物価高騰など、日進市を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、こうした課題への対応は待ったなしの状況でございます。
このような、変化への対応が至要な時代だからこそ、市民の皆様が変化に取り残されないよう、SDGsの前文にある「だれひとり取り残さない」という理念や、人が人を思いやる「やさしさ」を大切にしてまいります。そして、高齢者の皆様、学校になじめない子どもたち、生きづらさを感じている方々、デジタル化に戸惑う方々、これまで国や県、市からの支援が届かなかった方々などに寄り添ってまいりたいと考えております。
令和5年第2回日進市議会定例会本会議
本会議で所信表明をする近藤裕貴市長
3 まとめ
まちづくりへの私の考えといたしましては以上となりますが、地域福祉を始め、高齢者や障害のある方への支援、市民の皆様の健康増進、防災防犯への取り組み、公共交通の充実、農業振興や自然環境保全など、第6次総合計画に掲げる各施策、前進コミットメントに掲げさせていただいた施策を具現化するためには、本市の各種計画を念頭に置き、国、県、社会状況等の動向や法令適合、財政状況など、多くの課題や困難をクリアしていく必要がございます。
そうした課題に対し、行政のプロ集団である「チームにっしん」が一丸となり創意工夫を重ね、本日述べさせていただいた私の思いを、より素晴らしい施策へと昇華させてくれると確信しております。
日進市は、まちの発展とともに、多くの人材を育んできた豊かな資産があり、大変魅力がある地域でございます。
来年度の市制30周年は、コロナ禍にも負けない、元気のある市民の皆様と手を携え、さらなる発展を目指していく大変良い機会でございます。
市制30周年のテーマである「たのしいをいっぱいつくる」は、市民主体のまちづくりをまさにイメージするものでございます。特に、未来の日進市をつくる子どもたちが「たのしい」と感じることを、自ら「いっぱい」つくっていけるよう、その能力が大いに発揮されるような支援、仕組みづくりに取り組んでまいります。
結びに、この度、4月23日に行われた日進市議会議員一般選挙では、8人の方が初当選され、若い方への期待が示されたほか、20人中10人の方が女性になるなど、本市への注目度が増しております。これまで以上に多様な意見、活発なご議論を市民の皆様もご期待されていることと思います。私も、気持ちを新たに、皆様とともにさらに学びを深め、努力し、リスクや失敗を恐れず、常に勇気を持ってチャレンジしてまいります。
そして、「前進」を続け、より魅力ある日進市とするためのまちづくりに取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。
この記事に関するお問い合わせ先
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更新日:2024年02月27日