平成20年度イタセンパラ保護会議 議事録

ID番号 N4037

更新日:2019年03月01日

開催日時

平成20年6月28日(土曜日)午後2時から午後4時まで

会場

日進市役所南庁舎2階第5会議室

出席者

委員

森 誠一

小川 力也

河合 典彦

佐藤 正祐

村瀬 誠

大竹 正泰

渡辺 仁司

オブザーバー

環境省中部地方環境事務所統括自然保護企画官 常冨豊

欠席者

委員

高木 尊

事務局

田中副市長

山田教育長

青山教育振興部長

田中生涯学習課長

櫻井主幹

菅原主事

傍聴の可否

傍聴の有無

無し

議題

  1. 平成20年度のイタセンパラ保護調査報告について
  2. 平成20年度以降の取り組みについて
  3. その他 (1)河川の浚渫について

事務局

それでは、定刻になりましたので、ただいまより日進市イタセンパラ保護会議を開催いたします。副市長挨拶をお願いします。

副市長

あいさつ省略

事務局

議事にはいります。議事の取り回しを座長にお願いします。

座長

それでは本日は、2点審議していただきます。まず議題1について、今年度の調査結果について事務局から報告し、続いて本日午前中に現地の状況を確認した委員から報告と説明をいただきます。

事務局

5月調査結果について資料に沿って報告
調整池・緩衝池、河川で調査を行ったが、イタセンパラは確認されなかった。 調整池は、ガマが密生して環境は悪化し、昨年確認することができたフナの稚魚を確認することがなかった。昨年に引き続き、タナゴ類の仔魚稚魚を確認することがなかった。確認した魚類については、イタセンパラ保護会議委員である専門家に写真を送付し、魚種の同定を依頼した。

座長

イタセンパラの生存については、確認されていない状況ですね。
続きまして、委員から本日午前中に、調査対象地を確認した状況を発表していただきたいと思います。

委員

 今日午前中、調整池及び緩衝池、そして保護池の状況を確認しましたのでその感想を述べさせていただきます。

 一昨年私は、日進市から委託を受け、調整池、天白川水系全域について調査をいたしました。
 その際に、調整池では、ガマが繁茂していました。ガマが繁茂することにより、光を水の上で遮ってしまい、水の中に入る光の量が減少します。すると、水中における植物性プランクトンなどによる光合成がすすまず酸欠が起こります。さらに、調整池の性質上、池の中にはさまざまな栄養分がながれこみ、酸素が足りないことにより栄養分が分解されず、それを分解するためにさらに水中の酸素を使うため、水中の酸素がほとんど無い状況となっています。
 調整池では、排水口付近にガマが繁茂していない明るい開水域があります。ここには、イタセンパラの産卵床となるイシガイの生息が確認されています。しかし、その場所は、排水口付近であるため、酸素を奪われた水が全部集まってしまいます。そして、貝の数が年々減ってきており、イシガイの繁殖による稚貝の生息が確認されていません。
 一昨年調査した際には、イシガイに、タイリクバラタナゴが産卵していました。産卵された卵から仔魚が孵化しますが、その後成長しません。このことからも、調整池の水質の悪化が、イタセンパラへ大きな影響を与えていることがわかります。

 このようなことから、ガマの繁茂が、衰退することは考えられないため、本日確認する前に状況は良くないだろうと事前に予想されましたが、そのとおりでした。
 今年度の調査では、調整池において、フナやタイリクバラタナゴがみつかっていないため、残念だが調整池は、魚類が成育するのに適した状況に無いといえます。
 緩衝池は、ガマが繁茂しておらず、ある程度の水の流れがあり、調整池より多少環境は良いでしょう。しかし、水が池のなかで滞留するため、雨の後、調整池からヘドロが流れ込み溜まる構造になっています。そのため、魚類が生息するのに環境がいいとはいえません。調整池及び緩衝池は、イタセンパラを発見するためには厳しい環境になっています。
 一方、保護池については、素掘りの母貝培養池において昨年稚貝が確認されています。本日も、母貝培養池の中に入り、貝を探しました。今年生まれ、去年生まれの貝はみつかりませんでしたが、一昨年生まれの貝が順調に成長しています。もしこのような池にイタセンパラがいたとしたら、順調に繁殖します。保護池には、わずかな貝しか確認されず、タイリクバラタナゴがそれを利用して繁殖している。こちらは改良が必要です。

委員

 私も現地を確認しましたが、同じような感想です。

 私は、大阪の淀川において39年間イタセンパラの保護に関わってきました。ここ数年淀川では、イタセンパラの姿がみられなくなってしまいました。淀川の場合、1970年代から80年代半ば頃まではイタセンパラが数多く生息していました。しかし、河川環境悪化の影響で衰退しながらも、平成17(2005)年までは確認できました。淀川では、1980年代中頃からの河川環境はそれほど変わっていないように思えるが、ここ3年前から急にイタセンパラの姿が見られなくなってしまい他の多くの在来種の姿もみられなくなってしまいました。この原因は、淀川が、1980年代の半ばからの河川改修の結果、外来種が非常に増えやすい環境になってしまい、その外来種が在来種に大きく影響を及ぼしたことといえます。

 しかし、日進市における調整池では、イタセンパラを捕食する外来魚は確認されていないため、そういった影響はないと考えられます。ザリガニはたくさんいますが、イタセンパラには直接の影響は無いと思います。やはり大きな原因としてはガマの過剰な繁茂があげられます。ガマが過剰に繁茂することにより、イタセンパラの生息環境を奪ってしまっている。他の魚類についても、生息個体数が非常に少なくなっています。
 一方保護池については、環境としては良いと思います。貝は、2・3年目の個体が中心で昨年繁殖した個体は見つかりませんでしたが、貝は安定した密度になるとあまり増殖しなくなるようです。また機会を設けて調査を行うことで、攪乱されることにより、池の底質が改善し増殖して稚貝が発生する可能性もあります。

委員

 厳しい状況について報告いただきました。
 保護池では、それなりの環境が維持されている。私も調整池をみたところ、以前はもう少し開口部があるように感じたが、それが狭まってきているように思われました。

 事務局と、委員からの報告をうけてなにかございますか。
 地元で調査しているなかで、地元の委員からはなにかありますか。

委員

 イタセンパラが発見される期待をもって見守ってきましたが、非常に残念な結果となっています。
 保護池の中に、タイリクバラタナゴが数多くみられたので、セルビンで捕獲して、委員と本日確認してみましたが、イタセンパラはいませんでした。
 タイリクバラタナゴがあれだけ繁殖できたということは、イタセンパラがいれば繁殖できたか、という感想を持ちました。

座長

素掘りの池の状況は、イタセンパラ以外の在来魚の繁殖にとっても希望が持てる環境です。

委員

素掘りの池は、この地方の昔の田んぼによく似た状態です。

座長

 次の議題である、今後の取り組みに関連することでもありますが、調整池に関しましては、現実的なイタセンパラの生息場所としては受け取りにくいものと考えられます。多額の費用をかければ、改善される可能性はありますが、しかし、イタセンパラが確認されていない現状においては、そこまでやる必要はない、というのがひとつの見解です。かといって調整池の調査をしないわけでなく、モニタリング調査を継続的に行うことが良いと思います。専門家のマニュアル的なやり方をご指導いただいて調査を継続していくことは必要なのではないかと考えられます。
 今年度の調査ということに関しましては以上とします。

 それでは今後の取り組みについて、これまでの調査結果を踏まえて、平成20(2008)年度以降の取り組みについて、事務局お願いいたします。

事務局

平成20(2008)年度以降の取り組みについて資料に沿って説明

 文化財保護法第125条第1項に基づく現状変更許可申請については、平成20(2008)年8月31日をもち、新たな申請を行わない。
 イタセンパラが絶滅したとは言えないため、今後も継続的に専門家へ相談しながら経過観察を実施する。
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)第9条に基づく捕獲等の規制に関する協議は、突然の発見を考慮して、引き続き申請をする。
 経過観察中にイタセンパラを発見した場合は、保護池へ移動させる。
 保護池は、イタセンパラに限らず、在来の絶滅危惧種(淡水魚)が発見された場合に保護のため活用する。

座長

 8月31日まで調査をしていくということですね。

事務局

 はい。
 イタセンパラが確認できなかった場合の取り扱いについては、国・県と相談していきます。

 イタセンパラの生存を確認するための調査に最適な時期は、仔魚が貝から浮上する時期です。8月31日までの、この時期は貝から仔魚が浮上する時期にはあたりませんが、どのような調査をすればいいのかということについても専門的見地から委員の方の意見をお聞きしたいと思います。

委員

 昨日私は、大阪の保護池でイタセンパラの調査をしてきましたが、タイリクバラタナゴの成魚よりも大きなサイズに成長しています。非常に遊泳能力が優れてきて、捕獲するのも難しい状況です。これから8月31日までは、まだ産卵期も始まっておりませんので、イタセンパラを調査するのはとても難しい時期です。仮にどこかに生き残っていても、確率が非常に低い中で、調査のしにくい時期に調査をしたとしても非常に精度は低いわけです。残念ですが、現状変更の期間内の再調査は労力と比してあまり意味がないので、今回の報告の調査結果でおかれたほうがいいのではないでしょうか。

座長

 万が一という可能性と最終的な現状把握をする上でも、8月31日までの間にも可能であれば調査をされるのがいいのではと思います。

事務局

 調整池はイタセンパラが生息している可能性が低いため、一昨年の調査でタイリクバラタナゴの仔魚が確認された河川の合流地点のあたりを調査するのがよいでしょうか。

委員

 一昨年、調整池から北新田川をたどり天白川の名古屋市との境界付近まで調査させていただいた際は、流域で二枚貝が確認されませんでした。合流点では、不自然ではありましたが、1個体のみドブガイが確認されタイリクバラタナゴが発見されています。このことから、ここがイタセンパラが発見される可能性が高い箇所ですので、調査するならその地点がいいと思います。
 ただ、許可を受けた3年間の間、毎月1回というように、コンスタントに調査をしてきたわけではなく、確認されやすい時期に集中して調査をしてきたわけですよね。ですから、この時期に調査をしなかったとしても、調査を行うのに適当な時期ではなかったという判断に基づくものであり、調査をしなくてはならないということではないと思います。

座長

 調査範囲も狭いことであるし、市としての姿勢を示す意味でも、調査をしたらいいのではないでしょうか。

委員

 保護池で、在来淡水魚の絶滅危惧種を飼育していくというのは非常にいいことであると思います。しかし、保護池ではタイリクバラタナゴが確認されているが、絶滅危惧種が発見された場合は、タイリクバラタナゴを排除するべきものなのか。現実に、近隣では、タイリクバラタナゴも数が少なくなってきている。タイリクバラタナゴ自体も保護しなくてもよいものなのでしょうか。

委員

 タイリクバラタナゴは、外来種です。在来種であるニッポンバラタナゴとの交雑も問題となっている。仮にニッポンバラタナゴでしたら、しっかり守るべき対象となります。大阪の保護池では、タイリクバラタナゴが爆発的に増えています。これまで私は、イタセンパラとタイリクバラタナゴは仲良く共存すると思っていたのですが、あまり爆発的に片一方だけがふえすぎると影響が全くないわけではない、というのが最近の見方です。
 ですから、一種類だけが爆発的に増える状況というのはあまり良くないと思われます。根絶する必要はないのですが、在来の淡水魚とのバランスを保つためには多少間引くようなことは必要なのではないでしょうか。

委員

 調整池でもタイリクバラタナゴがみえなくなってきているので、希少なのではないかと考えるのです。

委員

 調整池ではフナもみられなくなりましたし、メダカもおそらくいないでしょうし、日本の池や川にいる魚も減っている。そういう見方をしていったらどれも希少になってしまっているのですよね。

委員

 もしも希少種を保護しようと考えていくならば、タイリクバラタナゴを排除していったほうが、いいのでしょうか。

事務局

 池がいくつかありますので、分けていくのも一つの考え方かと思います。

座長

 タイリクバラタナゴに関しましては、先ほど委員より説明がありましたとおり、もし排除するに忍びないのであれば、自宅の水槽で飼うにとどめればいいのではないでしょうか。ただ、すぐに根絶する必要もないですし、全部根絶することも不可能だと思われますので、間引きをしていくことだけはしていけばいいのではないでしょうか。
 タイリクバラタナゴは、特定外来生物として指定されていますか。

オブザーバー

 タイリクバラタナゴは特定外来生物ではありません。特定外来生物でしたら水槽で飼うこと自体許可が必要です。どの程度広まるかということや、生態系に対してどの程度影響があるかということが特定外来生物として指定する判断基準となっています。とりあえずタイリクバラタナゴは、特定外来生物に指定されてはいません。その点でオオクチバスといったようなものとは扱いが変わります。

委員

 タイリクバラタナゴは、子どもたちにも喜ばれる魚だと思います。色もきれいですし、貝に産卵するという非常に珍しい様式を持っています。

委員

 愛護会も、観察を続けているため保護池のタイリクバラタナゴがかわいそうに思うようになりました。

委員

 メダカの産卵と同じように、生命誕生について説明する教材としても活用できるのではないでしょうか。

委員

 動物園では、タイリクバラタナゴを飼育しているのですか。

委員

 飼育といいますか、外来種としての扱いで展示をしております。

委員

 経過観察については、どういうレベルで調査をするのですか。

委員

 今年と同じく合流部と、調整池、緩衝池について仔魚泳出期に市職員が調査を行うということです。

委員

 継続的に行うのがベストだと思われます。継続的に専門家に情報として提供いただくようにお願いいたします。調査方法に、誤りがあるかもしれませんので、情報提供していただくのがいいかと思います。

委員

 4月から6月に行った調査も逐一報告いただいています。

事務局

 同じように調査していきたいと思います。

オブザーバー

 種の保存法の手続きにつきましては、期限が切れましたらその段階で成果を報告してください。

座長

 保護池の活用をどうとらえるのか。空き地にしておいてイタセンパラ待ちではなさそうです。現在ある複数の池によっていろいろな使い方ができそうですが、そのあたりについてご意見はありますでしょうか。

事務局

 平成22(2010)年に名古屋市を会場に、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開かれます。それに向けて、愛知県知事は、国際会議を名古屋だけで行ったのでは成果を上げられないため県全体で取り組みたいと考えられています。愛知県には、干潟、湿地など多様な自然を世界に発信していきたいと考えています。COP10で日進らしいものができたら考えている。それに向けてこの会議は大変非常に貴重な財産になっているものだと考えています。主役であるイタセンパラがいないからといってがっかりする必要は無い。その間培われてきたノウハウや経験を次に生かすということが大事で、このまま終わるというのは、もったいない。イタセンパラの他にも保護するべき対象はありますので、このノウハウを次に生かして子どもたちに、伝えていくことも大切なのではないでしょうか。

座長

 ありがとうございました。大変貴重なご意見ありがとうございます。この地域、とくに東部丘陵地帯には、東海要素のさまざまな自然が存在しています。魚に限定しても、絶滅危惧種として里山の清水が湧き出すようなところにこの地域固有の生物がいる。文化財行政的には天然記念物とはなっていませんが、絶滅危惧種を豊田市など市指定文化財 天然記念物と指定をして保護に取り組んでいる地域もある。

座長

 保護池を、そういう淡水魚の絶滅危惧種ものを保全する場としても活用することができる。どのようにやっていくのかということについていえば、すぐ決めるということではないが、考えていく必要があるのではないでしょうか。

委員

 井戸からはじめに水が入ってくる保護池は、非常に人工的な感じがします。水に多く含まれる鉄分は、魚に影響はなさそうです。砂を入れるなどして、改良することが必要だと思われます。貝が増えない状況があるので、試行錯誤が必要ではないでしょうか。オオカナダモを減らす、底を浅くするなど、そういうことをすると池の管理に生かされるのではないでしょうか。いろんな魚種を守ることに活用するのは大賛成です。淀川でも、イタセンパラのみを守ろうとしているわけでなくイタセンパラを「淀川のシンボルフィッシュ」という呼び方をしているとおり、イタセンパラは生態系の象徴なのです。ですからシンボルフィッシュであるイタセンパラを守れば、その周りにいるさまざまな生物を守ることができる、そのような考えを持ち、取り組んでいます。その証拠にイタセンパラがいなくなれば、タイリクバラタナゴもいなくなってきました。おそらく氾濫原、水田地帯に生息してきた魚である「カワバタモロコ」や「メダカ」は、氾濫原の環境が失われれば、生活していけなくなります。あの保護池にイタセンパラをいれてやれば、イタセンパラも育つはずです。

委員

 タイリクバラタナゴの繁殖ばかりしていても悲しい。タイリクバラタナゴは小学校などで使ってもらってもいいように思います。

座長

 タイリクバラタナゴは水系に放すようなことをせず、水槽で飼い殺ししていただければ、その辺をレクチャーした上で、イタセンパラ学習のワンクッションという形で使っていくのもいいのではないでしょうか。そのためには学校は水槽などを買わなくてはならないですが。

事務局

 授業ではメダカの観察を行っています。しかし、メダカは教材として購入しています。担任の得意不得意もあって、授業が終わるとメダカも生きのびないというのが現状です。一部の学校は、淡水魚の飼育を行っています。しかし、あまり多くの学校で行ってはいません。イタセンパラがいるかどうかは別として、イタセンパラが発見されて何年か調査して、その間で学んだことはあると思います。魚に限らず、環境教育は、学校では重い分野として扱い力を入れています。蛍の養殖をしている方に学校へきていただいて、説明をしてもらうなど、実際のものを見せて大事なことだよと教えるのにいい材料であれば、活用していくのもいいのではないかと思います。しかし、メダカなどの淡水魚を水槽で飼うことは技術的に難しいものなんですよね。

委員

 水槽飼育は実際に難しいものです。タナゴ類を繁殖させるのは特に難しいです。

委員

 教科書は全国版ですから飼育用の改良種であるヒメダカなどを教材で使っています。しかし、日進の地域固有の在来種であるメダカなどの生き物を使って学習してほしいと思います。今のこんな時代ですから、たくさんみられた生き物が突然姿を消してしまう事例がいくらでもある、そういう意味で市内にいる在来の淡水魚、ありふれた魚であっても、数が増えれば、学校などで活用していただくのにいいかと思います。地域を学び理解するための学習に役立ちます。イタセンパラがみつかって養殖できれば一番良いと思います。在来の淡水魚が今はいくらでもいるから、ということで、あまり関心がいかないことはあるかもしれないが、減ってきてからはじめて関心がいくということがあります。減ってきてからでは遅いのです。今から保護していくということが、地域の個体群をまもるために有効なのではないでしょうか。

座長

 環境教育ということでまとめさせていただくと、タイリクバラタナゴの活用ということでは、イタセンパラについて学ぶ学習の初期導入という意味で、活用できるのではということがあります。放流しないということを約束した上で、多少荒い扱いをしてもいいと思います。もうひとつは、希少種を保全する対象として、里親制度という形で、危険分散していくということが取り組みとして考えられます。いずれにしても、地元、学校の理解がなければ実施は難しいものです。重点学校を決めるなどの取り組みをしていくことができればいいかと思います。

 時間のほうも押してまいりましたので、私のほうから一点、シンポジウム・学習会という形で地元の方に、イタセンパラの保護事業についてこのようなことをやってきたということ周知したらいいのではないでしょうか。現状イタセンパラがいない中で、イタセンパラに限りそういった会を開くのはつらいと思いますので、一般向けの催しを行っていくのがいいのではないでしょうか。これは、実績のひとつになると思います。地元の方の応援がなければできないことですので、方向性を打ち出していってほしいと思います。

委員

 シンポジウムを開くことは、イタセンパラの保護事業について収束させていくということになるのだと思います。水中の生き物についてははっきり絶滅したという宣言はしにくいものです。淀川では、種の遺伝子を保存する場所に重要性が非常に高まっています。大阪では、天然記念物指定前に別の保護池に移植されたものが、現在まで生き延びています。今後、濃尾平野のイタセンパラの遺伝子を保護する施設は水族館の他にありません。イタセンパラについていえば、水族館における水槽飼育は困難です。木曽川水系の保存のために活用することは、非常に重要なことなのではないでしょうか。地域の方と連携して取り組んできた、人的協力、ノウハウ、保護・場所を生かして、木曽川水系のイタセンパラの遺伝子を保存する場所として生かしていくのがいいのではないかと思います。生態系のシンボルですから、さまざまな種とともに保存していくという道があるという考え方でやっていただくといいのではないかと考えます。

座長

 日進市のイタセンパラという考えだけでなく、濃尾平野のイタセンパラの保存という視点で考えたらいいのではないかという意見です。何年か前にも議題で上がったことがあります。そういった今後の活用の1案として考えていったらいいのではないかというご意見です。地域住民の感情もありますので、実際に譲り受けることにはいくつかハードルがあるでしょうが、前向きに考えていいかと思います。

事務局

 イタセンパラが確認されない現状ではありますが、取り組んできたノウハウを発展的に生態系の保護に向かうのがいいのではないかという考えです。地域に希望を与えることになるのではないかと思います。

オブザーバー

 生息域が異なるイタセンパラの保護増殖事業をするには、乗り越えるべきハードルは高いといえます。木曽川水系で保全に携わっている自治体と比して、生息域外保全として適した候補場所かということにたいして慎重な判断が迫られます。すぐに実現することが可能かどうかは別として、木曽川個体群を守るということから取り組みを検討していただくということに関しては、問題ないかと思います。

事務局

 専門の職員がいない中で、市がやっていけるかどうかを考えると頭が痛いです。いずれにしても専門家など市職員以外のお力を借りていかないと難しいと考えております。

委員

 熱心にやってくださっている地元のかたがいらっしゃるということが日進の財産であると思います。イタセンパラがいないということでがっかりされている姿は、逆にイタセンパラが発見されたら大変な力になる。後継者も出てくると思うし、この力は活用しないともったいないです。

座長

 そのとおりだと思います。そのほか、地元で活動されている委員の方、ご意見ありますか。

委員

 調整池をどうしていくのかが気になります。

座長

 経過観察は継続していくのでその結果しだいでしょうか。

事務局

 ガマは毎年刈ったとしても勢いが弱まることはありません。調整池は、県の施設であるが、しばらく大規模にガマ刈りや浚渫をするようなことは、イタセンパラの有無にかかわらず予定はない。と返事をいただいています。できる範囲での経過観察を行っていきます。

座長

 他に意見がありませんでしたら、その他の項目について事務局から報告をお願いいたします。

事務局

 福井川、北新田川については、イタセンパラの発見以来、浚渫を実施しておらず河床に土砂が著しく堆積しています。地元の方から豪雨などの際に不安だという要望があります。水路を確保するなど方法を検討してから、浚渫を行っていくということで建設課と相談しています。浚渫時期は、イタセンパラの産卵期と、稚魚が浮出する時期をのぞく渇水期を選びます。水路を確保しながら、片側交互に重機を入れて、浚渫していきます。川幅が狭いところは仮設水路を埋設して周辺を掘削する。事前に生息調査を行い、廃土に貝が残されていないかを確認します。専門家のアドバイスをいただくなどしてやっていきたいと考えております。この場で、浚渫方法についてのご意見ありましたらよろしくお願いいたします。

座長

 なにか方法や、どういった点に気をつけたらいいかということについてお聞きしたいということでしょうか。

委員

 イタセンパラは、貝に産卵します。対象河川で貝が発見されていないため、こうしなければならないということはありません。他の魚について配慮するとすれば水を止めない方法で行うことが必要です。

委員

 河床を切り下げると水位も下がり、多くの魚種の産卵場所が失われます。どれくらい水位が下がるのか事前に把握し、急激な水位低下が起こらないよう配慮して、工事していただくのがよいと思います。

座長

 浚渫する範囲はどこですか。

事務局

 当初イタセンパラが発見された場所周辺です。

座長

 魚類調査はある程度根拠がある形にしたほうがいいと思います。しかしコンサルに委託するほどの内容ではないと思われますが、魚類に詳しい方と一緒に調査を行う必要はあります。

委員

 工事区間の事前調査と、工事後の変化がどうあったかということを把握して、今後の工法に反映させる必要があります。

委員

 現在中洲に木が生えて陸化が進んでいます。イタセンパラが発見されてから触らぬ神…という感じでありました。住んでいる地元は、手付かずはいけないのではないかという気がします。

座長

 ほかになにかございますでしょうか。COP10の話題もでましたが、環境省からご説明いただけるということです。よろしくお願いします。

環境省

 (資料に沿ってCOP10について説明)

事務局

 長時間にわたりご審議ありがとうございました。これを持ちまして会議を終了させていただきます。

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午後4時終了

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