○日進市男女平等推進条例

平成19年4月1日

条例第23号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 性別による権利侵害の禁止等(第8条・第9条)

第3章 基本的施策(第10条―第21条)

第4章 苦情の処理等(第22条・第23条)

第5章 男女平等推進審議会(第24条)

第6章 雑則(第25条)

附則

人はみな、個人として尊重され、性別によって差別されない平等な存在です。

わが国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、国際的な取組みとも連動しながら、男女平等の実現に向けた取組みが行われています。

また、日進市においても、平成13年に男女共同参画プランを策定し、様々な施策に取り組んできました。

しかしながら、依然として根強く残る性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会的な制度及び慣行並びに性差別に基づく人権侵害は、男女平等の実現の障害となっています。

このような状況を改善し、日進市が、活力あるまちとして一層の発展を遂げるためには、男女が互いに人権を尊重しつつ、性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮し、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野に対等に参画する機会が確保され、政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受し、併せてその責任を担うことができる男女平等な社会を実現することが重要です。

ここに私たちは、男女の平等を推進することにより、男女が共に参画しうる活力あるまち日進市をつくるため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女平等の推進に関し、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育関係者の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に推進することにより、男女が共に参画しうる活力あるまち日進市をつくることを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、使用されている用語の意義を次のように定めます。

(1) 市民 市内に居住する者又は市内で学ぶ者、働く者若しくは活動する者をいいます。

(2) 事業者 市内において事業活動(営利・非営利を問いません。)をするものをいいます。

(3) 教育関係者 市内において教育活動に携わるものをいいます。

(4) セクシュアル・ハラスメント 相手の望まない性的な言動又は性別による固定的な役割分担意識に基づく言動により、相手に不快感若しくは不利益を与え、又は生活環境を害することをいいます。

(5) ドメスティック・バイオレンス 夫婦、恋人等親密な関係にある男女間若しくは親密な関係にあった男女間の暴力(身体に対する不法な攻撃又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいいます。以下同じ。)をいいます。

(6) メディア・リテラシー 多様な情報から主体的に情報の送り手の意図を読み解き、自らの意思に基づき情報を発信する能力をいいます。

(7) 積極的改善措置 家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野における活動に参画する機会についての男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいいます。

(基本理念)

第3条 男女平等の推進は、次に掲げる事項を基本として行われなければなりません。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられ、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において直接的であると間接的であるとにかかわらず、性別による差別的な取扱いを受けることなくその個性が尊重され、能力が十分に発揮できる機会が確保されること。

(2) 男女が社会の対等な構成員として、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野における施策や方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(3) 社会における制度又は慣行が、社会における男女の活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないように配慮されること。

(4) 家族を構成する男女は、家族的責任を果たすため、互いに尊重しあい、相互の協力と社会的支援の下、家庭生活とそれ以外の活動に対等に参画し、両立できるように配慮されること。

(5) 家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野における教育や学習において、男女平等を基本とした教育に配慮されること。

(6) 男女平等の推進に関する取組みは、国際社会における取組みと密接な関係を有していることから、国際的な理解と協調の下に行われること。

(7) 男女が互いに尊重しあい、その性についての理解を深めることにより、生涯にわたり健康な生活を営むこと、また妊娠、出産その他の性と生殖に関しては、産む性としての女性の身体的機能に配慮し、その自己決定権が尊重されること。

(8) 男女間の暴力が、男女平等を阻害する重大な社会問題であることを認識し、その根絶が図られること。

(市の責務)

第4条 市は、男女平等の推進を市の主要な施策として位置づけ、前条に定める基本理念(以下「基本理念」といいます。)にのっとり、施策を総合的かつ計画的に実施しなければなりません。

2 市は、男女平等の推進に関する施策を実施するため、必要な体制を整備するとともに、財政上の措置その他の必要な措置を講じなければなりません。

3 市は、国及び県その他の地方公共団体と連携するとともに、市民、事業者及び教育関係者と協働して男女平等の推進に取り組まなければなりません。

4 市は、率先して男女平等の実現に努めなければなりません。

(市民の責務)

第5条 市民は、男女平等に関する理解を深め、基本理念にのっとり家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において自ら積極的に男女平等を推進するよう努めなければなりません。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、その事業活動を行うにあたり、基本理念にのっとり、性別にかかわらず個人の能力が発揮できるように必要な措置を講ずるよう努めるとともに、職場活動と家庭、地域等における活動が両立できるよう環境整備に努めなければなりません。

(教育関係者の責務)

第7条 教育関係者は、教育の重要性に鑑み、男女平等に関する理解を深め、個々の教育を行う過程において基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければなりません。

第2章 性別による権利侵害の禁止等

(性別による権利侵害の禁止)

第8条 何人も、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、直接的であると間接的であるとにかかわらず、性別による差別的な取扱いを行ってはなりません。

2 何人も、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはなりません。

3 何人も、ドメスティック・バイオレンスを行ってはなりません。

(市民に提供する情報への配慮)

第9条 何人も、市民に提供する情報においては、性別による固定的な役割分担若しくは前条に規定する行為を助長し、又は連想させる表現その他過度の性的な表現を行わないよう努めなければなりません。

第3章 基本的施策

(行動計画)

第10条 市長は、男女平等の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、行動計画を策定します。

2 市長は、行動計画を策定する場合は、市民、事業者及び教育関係者の意見を反映させるよう努めるとともに、日進市男女平等推進審議会に諮問しなければなりません。

3 市長は、行動計画を策定したときは、これを公表します。

4 前2項の規定は、行動計画を変更する場合について準用します。

(情報提供及び普及啓発)

第11条 市は、市民、事業者及び教育関係者の男女平等に関する理解を深めるための情報を積極的に提供するとともに、男女平等に関する意識の普及及び啓発に努めます。

2 市は、社会的、文化的につくられた性別(ジェンダー)の再生産や性の商品化による人権侵害をなくし、男女平等を推進するため、すべての人が、メディア・リテラシーを身につけることができるよう、市民、事業者及び教育関係者に対し必要な情報を提供するとともに、その普及に努めます。

(積極的改善措置)

第12条 市は、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野の活動において、男女間の参画機会にかかる格差が生じている場合は、市民、事業者及び教育関係者と協力し、積極的改善措置を講ずるよう努めます。

2 市は、市の施策の立案及び決定に男女が平等に参画できるよう、審議会等における委員の構成及び人員配置について、行動計画に数値目標を掲げ、男女の均衡を図るよう努めます。

3 市は、男女平等を推進するため、女性職員の能力開発及び管理職等への登用に努めます。

(雇用の分野における男女平等の推進)

第13条 市は、雇用の分野における男女平等を推進するため、事業者に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めます。

2 市は、必要があると認めるときは、事業者に対し、その事業活動における男女平等の推進状況を知るための調査について協力を求めることができます。

(市民活動等への支援)

第14条 市は、男女平等を推進する活動を行う市民、団体等に対し、必要な情報の提供及び支援を行うよう努めます。

(学習及び教育における支援等)

第15条 市は、男女平等に関する理解を深めるため、市民の学習を支援するよう努めるとともに、学校教育、社会教育その他の教育において、必要な措置を講ずるよう努めます。

(家庭生活と職業生活等との両立支援)

第16条 市は、男女がともに育児、介護その他の家庭生活における活動と地域、職場その他の社会のあらゆる分野における活動を両立することができるように必要な環境整備に努めます。

(国際協調の推進)

第17条 市は、国際的な理解と協調の下に男女平等を推進するため、市民一人ひとりが国や民族の違いを超えて相互の交流を図ることができるよう支援に努めるとともに、男女平等に関する国際的な情報の収集及び提供に努めます。

(性と生殖に関する健康と権利の尊重)

第18条 市は、性と生殖に関する健康と権利が十分に尊重されるように、情報の提供及び意識の啓発に努めます。

(拠点整備)

第19条 市は、市民、事業者及び教育関係者の男女平等の推進に関する取組みを支援するため、拠点の整備に努めます。

(調査研究)

第20条 市は、男女平等の推進に関する施策を効果的に実施するため、必要な調査研究を行い、その結果を公表します。

(実施状況の報告)

第21条 市長は、毎年、男女平等の推進に関する施策の実施状況について、報告書を作成し、公表します。

第4章 苦情の処理等

(苦情処理)

第22条 市長の附属機関として、日進市男女平等推進苦情処理委員(以下「苦情処理委員」といいます。)を置きます。

2 市民、事業者及び教育関係者は、市長に対し、市が実施する男女平等の推進に関する施策又はその推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情を申し出ることができます。

3 市長は、前項の申出があった場合、必要があると認めるときは、苦情処理委員に事案の調査等を命ずるものとします。

4 苦情処理委員は、調査結果を市長に報告するとともに、必要があると認めるときは、当該申出にかかる市の機関に対し是正の指示等を行うよう、市長に意見を述べることができます。

5 市長は、苦情処理委員の意見を尊重し、必要な措置を講ずるよう努めます。

6 前各項に定めるもののほか、苦情の処理に関し必要な事項は、規則で定めます。

(相談)

第23条 市民、事業者及び教育関係者は、市に対し、性別による差別的な取扱いその他の男女平等の推進を阻害する行為について、相談をすることができます。

2 市は、前項の規定による相談を受けた場合、関係機関と連携し、必要な措置を講ずるよう努めます。

第5章 男女平等推進審議会

(男女平等推進審議会)

第24条 市長の附属機関として、日進市男女平等推進審議会(以下「審議会」といいます。)を置きます。

2 審議会は、市長の諮問に応じ行動計画及び男女平等の推進に関する重要事項について、調査、審議し、その結果を市長に答申します。

3 審議会は、男女平等の推進に関し、必要と認める事項について調査、研究を行い市長に意見を述べることができます。

4 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。

第6章 雑則

(委任)

第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めます。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から起算して6月を経過した日から施行します。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に定められている男女平等の推進に関する市の基本計画であって、推進施策を総合的かつ計画的に実施するためのものは、第10条第1項の規定により定められた行動計画とみなします。

(日進市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 日進市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和41年日進町条例第2号)の一部を次のように改正します。

〔次のよう〕略

日進市男女平等推進条例

平成19年4月1日 条例第23号

(平成19年10月1日施行)

体系情報
第1編 規/第5章 男女共同参画
沿革情報
平成19年4月1日 条例第23号