○日進市未来をつくる子ども条例

平成21年9月29日

条例第24号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 子どもの大切な権利(第4条―第14条)

第3章 大人による子どもの権利保障(第15条―第19条)

第4章 子どもにやさしいまちづくりの推進(第20条―第27条)

第5章 子どもの権利侵害からの救済及び回復(第28条―第30条)

第6章 雑則(第31条)

附則

子どもは、社会の一員として仲間や大人とともに、よりよい未来をつくっていくことができる大切な存在です。

子どもたちは、次のように語ります。

「私たちは、いろいろなことを知り、学び、選び、目標に向かいチャレンジすることができます。

そのために必要な力を借りることもできます。

そして、夢をかなえることができます。

私たちは、大人のために利用されることはなく、気持ちや考えを言うことができます。

私たちには、助けてくれる人たち、支えてくれる人たちがいます。

私たちは、大切にされ、安全で、安心なまちに住むことができます。

私たちは、みんな仲間です。

お互いに受けとめ合い、協力することができます。

悩みを相談したり、助けを求めたりもできます。

生きていることが楽しいと思えることは、あたり前ではなく、とてもすばらしいことです。

私たちは、お互いの自由と権利を大切にして、ともに生きていたいと願います。

私たちは知ってほしい。守られていない権利があることを。

だから、この条例を知ってほしい。」

日進市にともに暮らす私たち市民は、子どもの権利や参加の機会を保障することが、子どもにとってやさしいまちづくりにつながると考え、この条例を定めます。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、児童の権利に関する条約の理念に基づいて、子どもの基本的人権としての子どもの権利を保障し、子どもがいきいきと育つことを地域社会全体で支え合う仕組みを定めることにより、子どもとともに、子どもにやさしいまちづくりを進めることを目的とします。

(定義)

第2条 この条例における用語の定義は、次のとおりとします。

(1) 子ども 市内に住んだり、市内で学んだり、活動したり、働いたりする18歳未満の人その他これらの人と等しく権利を認めることがふさわしい人をいいます。

(2) 保護者 親又は親に代わって子どもを養育する立場にある人をいいます。

(3) 育ち学ぶ施設 市内にある学校、児童福祉施設など子どもが育ち、学ぶために通学し、通園し、通所し、又は入所する施設をいいます。

(4) 施設関係者 育ち学ぶ施設の設置者、管理者、教員及び職員をいいます。

(5) 地域住民など 地域の住民、地域で活動を行う団体、市内の事業者などをいいます。

(基本的考え方)

第3条 この条例により子どもの権利を保障し、子どもにやさしいまちづくりを進めることは、次の考え方に基づきます。

(1) 子どもの幸せや子どもにとって一番よいことを第一に考えます。

(2) 子どもの年齢や成長に配慮します。

(3) 子どもと大人の信頼関係を基本に、地域全体で取り組みます。

(4) 子ども自身の意思や力を大切にします。

第2章 子どもの大切な権利

(権利の保障と尊重)

第4条 この章に定めるそれぞれの子どもの権利は、あらゆる機会において、子どもが、ひとりの人間として育ち、学び、生活していく上で大切な権利として、保障されます。

2 子どもは、自分の権利を学び、大切にし、他の人の権利を認め、尊重するよう努めます。

3 特別に支援が必要な子どもは、必要に応じて配慮されます。

(愛される権利)

第5条 子どもには、次のとおり、ひとりの人間として尊重され、愛される権利があります。

(1) ありのままの自分を受け入れてもらうこと。

(2) 自分の気持ちや考え、個性や能力が認められ、大切にされること。

(守られる権利)

第6条 子どもには、次のとおり、心や体を傷つけるものから、自分を守り、守られる権利があります。

(1) あらゆる暴力、危害、差別から守られること。

(2) 自分を守る情報が得られ、安心して気持ちや考えを伝え、相談できること。

(自分らしく生きる権利)

第7条 子どもには、次のとおり、自分を大切にし、自分らしく生きる権利があります。

(1) ありのままの自分に自信をもって生きること。

(2) 自分で自分のことを決めること。

(3) 目標に向かってチャレンジできること。

(気持ちや考えを伝える権利)

第8条 子どもには、次のとおり、自分の気持ちや考えを伝える権利があります。

(1) さまざまなことに関して感じ、考えたことを伝えたり、表現したりできること。

(2) 相手の気持ちも自分の気持ちも大切にするコミュニケーションの力を伸ばす機会が得られること。

(学ぶ権利)

第9条 子どもには、次のとおり、さまざまなことを知り、さまざまなことから学ぶ権利があります。

(1) 必要な知識や情報が得られること。

(2) 必要な教育を受けたり、自ら学びたい内容を学んだりする機会が得られること。

(3) 文化や芸術、スポーツ、社会体験など豊かな自己を育む経験ができること。

(遊ぶ権利)

第10条 子どもには、次のとおり、遊びをとおして成長する権利があります。

(1) 遊びが大切にされ、十分に遊ぶこと。

(2) 遊びに触れる場と仲間が得られること。

(心や体を休める権利)

第11条 子どもには、次のとおり、心や体を休める権利があります。

(1) 安心できる場所で休み、十分に眠ることができること。

(2) 余暇を楽しみ、自由な時間を過ごせること。

(自然とふれ合う権利)

第12条 子どもには、次のとおり、自然とのふれ合いをとおして成長する権利があります。

(1) 身近な自然を受け継ぐこと。

(2) 自然とふれ合い、ともに生きる知恵が得られること。

(参加する権利)

第13条 子どもには、次のとおり、自分に関わる場に参加する権利があります。

(1) 参加に必要な情報が得られること。

(2) 意見を発表したり、意思決定に関わったりすることができること。

(3) 仲間をつくり、集まり、自治的な活動を行うことができること。

(ともに生きる権利)

第14条 子どもには、次のとおり、他の人とともに生きる権利があります。

(1) 性別、年齢、国籍、文化などが異なる人たちと、ふれ合い、受けとめ合い、育ち合い、仲間になる機会が得られること。

(2) 子ども同士又は子どもと大人の支え合い助け合う関係が大切にされること。

第3章 大人による子どもの権利保障

(共通の責務)

第15条 大人は、子どもの権利について理解し、その保障のために、第3条に定める基本的考え方に基づき、子どもに必要な支援を行わなければなりません。

2 大人は、子どもが、自らの権利を理解し、自己肯定感を育み、仲間をつくり、他の人や社会と関わる力を身につけることで、自らの力を発揮できるように支援しなければなりません。

3 大人は、いかなる場合も、暴力、危害、差別などにより、子どもの心や体を傷つけてはなりません。

(保護者の責務)

第16条 保護者は、子育てに第一の責任を持つものとして、次のことに取り組まなければなりません。

(1) 子どもが安心して過ごせる環境を確保すること。

(2) 子どもの気持ちや考えを受けとめ、十分に話し合うこと。

(3) 子どもとともにいる時間を大切にし、子どもが豊かに育つための機会をつくり出すよう努めること。

(施設関係者の責務)

第17条 施設関係者は、子どもの教育や福祉にたずさわるものとして、次のことに取り組まなければなりません。

(1) 子どもが豊かに育つ環境や教育を充実させること。

(2) 子どもの気持ちや考えを受けとめ、子どもが自分に関わることに参加する機会を設けること。

(3) 虐待やいじめを予防し、その早期発見に努めること。

(4) 子どもの権利を理解し、保障するために、研修など職場環境を充実させること。

(地域住民などの責務)

第18条 地域住民などは、子どもとともに暮らす地域社会の一員として、次のことに取り組まなければなりません。

(1) 子どもをあたたかく見守ること。

(2) 地域において、子どもが豊かに育つための機会をつくり出すよう努めること。

(3) 子どもの気持ちや考えを大切にし、地域の行事や活動に参加する機会を設けること。

(4) 子どもの権利を理解し、保障するために、職場や地域の環境の充実に努めること。

(市の責務)

第19条 市は、保護者、施設関係者、地域住民などと連携し、及び協働し、子どもの権利を保障するために、必要な施策を実施しなければなりません。

2 市は、保護者、施設関係者、地域住民などが、それぞれの責務を果たすことができるよう、必要な支援を行わなければなりません。

第4章 子どもにやさしいまちづくりの推進

(権利の周知と学習支援)

第20条 市は、子どもの権利月間を設け、この条例と子どもの権利について、周知を図るとともに、必要な取組を実施します。

2 市は、家庭、育ち学ぶ施設及び地域で、子どもと大人が、子どもの権利について学ぶことができるよう必要な支援を行います。

(暴力に対する取組)

第21条 市は、子どもへの虐待の早期発見に取り組みます。

2 市は、虐待を受けた子どもを適切かつ速やかに救済するために、関係機関と協力して必要な支援を行います。

3 市は、虐待や体罰を予防するため、必要な取組を実施します。

(危害に対する取組)

第22条 市は、子どもが薬物や犯罪などの危害を受けないよう、必要な取組を実施します。

2 市は、子どもが安全で、安心に暮らすことができるよう、公共施設などの整備や必要な支援を行います。

(子育て家庭への支援)

第23条 市は、保護者が、子育ての喜びを実感し、安心して子育ての責任を果たせるよう必要な支援を行います。

2 市は、特別に支援が必要な家庭及び子どもに対し、安心して暮らすことのできるよう支援を行います。

(育ちの支援)

第24条 市は、子どもが、さまざまなことを体験したり、仲間と交流したりする場づくりを行うなど、豊かな自己を育むことを支援します。

2 市は、子どもが、仲間と集い、自治的な活動ができる居場所づくりを進めます。

3 市は、子どもが、いつでも安心して相談できる場の充実を図ります。

(施策への参加の充実)

第25条 市は、子どもに関係する施策の計画及び実施にあたっては、子どもが主体的に参加できる環境の整備や機会の充実を進めます。

(子どもに関する行動計画)

第26条 市は、子どもにやさしいまちづくりを総合的かつ計画的に進めるため、子どもに関する行動計画(以下「行動計画」という。)を策定し、必要に応じて、その内容を見直します。

(子ども施策推進委員会)

第27条 市は、行動計画の策定及び円滑な推進を図るため、子ども施策推進委員会(以下「推進委員会」という。)を置きます。

2 推進委員会は、行動計画の推進に関し、調査、検証などを行い、その結果を市長に報告します。

3 市長は、推進委員会の報告に基づき、必要な措置を行います。

4 前各項に定めるもののほか、推進委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。

第5章 子どもの権利侵害からの救済及び回復

(子どもの権利擁護委員の設置)

第28条 市は、子どもの権利侵害について、救済の申立てを適切かつ速やかに処理するため、日進市子どもの権利擁護委員(以下「擁護委員」という。)を設置します。

2 擁護委員は、3人以内とし、人格に優れ、子どもの人権や教育などに関して知識や経験のあるもののうちから、市長が委嘱します。

3 擁護委員の任期は3年とし、再任を妨げません。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。

(擁護委員の所掌)

第29条 擁護委員は、子どもの権利侵害についての相談や救済の申立てを受けた場合は、必要に応じて事実の調査及び関係者間の調整を行うとともに、その解決に向けての助言や支援を行います。

2 擁護委員は、子どもの成長や人格形成に影響を及ぼすと認めるときに、子どもの権利を侵害したものに対して、勧告又は改善の要請を行うことができます。

3 擁護委員は、前項の規定による勧告又は改善の要請が速やかに実施されるよう、市に対し必要な取組を実施するよう要請することができます。

4 擁護委員は、毎年その活動状況などを市長に報告し、公表するとともに、市に対し施策を提言することができます。

5 擁護委員は、保護者、施設関係者、地域住民などに協力を求めることができます。

(擁護委員に対する支援や協力)

第30条 市は、擁護委員の独立性を尊重し、その活動を支援します。

2 保護者、施設関係者、地域住民などは、擁護委員の仕事に協力するよう努めなければなりません。

第6章 雑則

(委任)

第31条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めます。

(施行期日)

1 この条例は、平成22年4月1日から施行します。ただし、第5章の規定は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において規則で定める日から施行します。

(平成22年規則第9号で平成22年9月1日から施行)

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第8条第1項の規定により策定されている計画は、第26条の規定により策定された行動計画とみなします。

(日進市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 日進市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和41年日進町条例第2号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

日進市未来をつくる子ども条例

平成21年9月29日 条例第24号

(平成22年9月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第2節 児童・母子福祉
沿革情報
平成21年9月29日 条例第24号